シアトルで増え続けている「麺」のお店。今回は、夏においしいラーメン、冷やし中華、手打ちそばが食べられるお店をご紹介します。
取材・文：小村侑子、ハーモニー・ケリー、室橋美佐、小林真依子、吉田雛子

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ラーメン居酒屋 輝月

ベルビュー、キャピトルヒル、ウエストシアトルなど、有名レストランが立ち並ぶ激戦区に次々と店舗をオープンし、いずれも連日の大行列。店名の通りにシアトルのラーメンブームを明るく照らす不動の人気店「輝月（きづき）」、今回はリニューアルオープンしたサウスセンター店に取材に向かった。

平日の午後とは思えない賑わいのサウスセンターモールの中にあって、ひときわの盛況ぶりを見せる店舗、それが同店だ。和モダンな内装に日本画や無数のダルマがダイナミックに飾られる様は、いわゆるラーメン屋のイメージとはかけ離れた高級感を生み出している。

同店の特徴の一つが、豊富なサイドメニュー。「空海チキン豆腐サラダ（Sサイズ$5、Lサイズ$10.50）」は、新鮮なパリパリのレタスに鶏むね肉、絹ごし豆腐、ワカメ、キュウリが豪勢に盛られている。自家製のごまドレッシングは柚子の風味がアクセントとなり、ラーメンの前に一杯ひっかけたい時のおつまみにうってつけ。

「限定特濃ニンニクとんこつ醤油ラーメン（$12.50）」は、同店の母体である日本のラーメン店「麵屋 空海」でも一番人気を誇る逸品だ。うまみを引き出すために3時間かけてローストした豚骨を10時間煮込んだというこだわりのスープは、豚骨本来のうまみにニンニクが効いた力強い味わい。中までしっかり味の染み込んだトロトロの半熟卵、香ばしく肉感あふれるチャーシューなど、それぞれの具材が主役級の存在感を見せている。ラーメンの王者と呼んでも過言ではない、大満足の一杯だ。

続いての「ベジタブルラーメン（$11）」は、がらりと趣向を変えたヘルシーな一品。シイタケと海藻でだしをとったスープに味噌、ごま、しょうゆを加えた、ベジタリアンにも嬉しいラーメンだ。野菜の良さを閉じ込めたまろやかなスープに辛味噌を混ぜると、スパイシーさとクリーミーな味わいが見事に調和する。具材のトマトや青菜が目にも鮮やかで、野菜だけでも全く物足りなさを感じさせない。

「まずは食べてみてください。海外で最も本格的なラーメンに出会えるでしょう」とエリアマネージャーのウィリアム・スメリックスさんが自信を持って語る通り、日本の味そのままを守りながらもアメリカらしいエキサイティングな遊び心が光る同店。ぜひ足を運んでみてほしい。