11月初旬から日本出張が入り、久しぶりに本社・杉本製茶で働いています。現在静岡では、今年最後のお茶収穫(秋冬番茶)の真っ最中。農家さんなどと会う機会もあり、とても楽しい時間を過ごしています。僕がアメリカでお茶を売ることができるのも、農家や本社のみんなのお陰だと改めて感じました。
さて今回は、本社で働く兄や父の姿も久しぶりに見ることができました。一番大切な仕事は、農家さんが持ってくるお茶や、自分たちが仕上げたお茶のテイスティング。自分たちが使う原料と、その原料が自分たちの手でどう変化したか。毎日いろいろなお茶の鑑定を繰り返して改善・改良を続ける姿はまさに職人です。僕にはほぼ同じに見えるお茶も、これが良い、これが悪いと、職人だけが分かる世界があるようです。
テイスティングでは主に「見た目」と「中身」を判定しているとのこと。見た目と言うのはもちろん茶葉の外見や抽出液の色など。中身は香りと味です。見た目は良くても中身が悪いお茶、またその逆も世の中にはたくさんあり、この道50年の父も「お茶は難しい」と話しています。その父がいつも「うちのお茶は俺と一緒で、見た目は悪いけど中身が良い」と言って笑います。杉本のお茶はどれも深蒸し茶で、見た目は粉っぽいのですが味がいいのが自慢です。そんな、見た目が悪く、中身が良い父と杉本のお茶を、僕はいつも誇りに思っています。
[ホッとなお茶話]