日本の味のパンとケーキ FUJI BAKERY

日本の味のパンとケーキがシアトルで購入できることで大人気のフジベーカリーが、今年もクリスマスケーキの予約を受け付けている。また12月からは、ベルビューに販売店をオープンした。

取材・文・写真：越宮照代

シンプルなデザインと繊細な味のケーキ

日本人にとってクリスマスに欠かせないのが、クリスマスケーキ。シアトルに居ながらにして日本の繊細な味のクリスマスケーキを食べたいと思っている人を必ずや満足させてくれるのが、フジベーカリーだ。本店・工場はシアトルのエリオットアベニュー沿いに位置する。ベーカリーならではの甘い香りに迎えられて店内に入ると、正面の大きなショーケースには出来立てのパンやペイストリー、右手には上品でかわいらしいケーキがずらり。

同店のパティシエ、大沢勇史さんはケーキの本場パリで3年、日本で約10年のケーキ作りの経験の持ち主。伝統的なフランスの技術に自身のオリジナリティーを加え、美しいケーキを作り出している。アメリカの飾り立てたケーキを見慣れていると、大沢さんの洗練されたシンプルなデザインのケーキは斬新で、目に心地よい。「シンプルにすると、その分失敗してもごまかしが効かないので難しいですね」と控えめに語る大沢さんのそばで、同僚のパティシエが「彼はマジシャンよ！」と絶賛した。

新作「ラズベリーチョコムース、ホワイトチョコムースと苺のバルサミコ酢コンポート」

アメリカ人はバースデーや祝い事によくケーキを購入することから、同店では通常からホールケーキを扱っている。その中からクリスマス用にデコレーションしたのが「ストロベリーショートケーキ」、「プラリネダークチョコムースとパッションフルーツクリームのログケーキ」、グルテンフリーの「サンタスフレチーズケーキ」の３種類。それに、季節限定の新作「Envy（エンヴィー）」がクリスマスケーキとして加わった。これは大沢さんが今年の夏の全米小規模ケーキ店のコンペティションでトップ50に選ばれた作品を、クリスマス用にアレンジした「ラズベリーチョコムース、ホワイトチョコムースと苺のバルサミコ酢コンポート」だ。

エンヴィーのレギュラーサイズ（$4）を試食させてもらうと、なめらかな舌触りのホワイトチョコレートムースの中に、ラズベリーチョコレートムースと苺のバルサミコ酢のほのかな酸味が融合した大人の味のチョコレートが隠されていて、一度食べたら病みつきになりそう。ぜひ試して欲しい一品だ。

クリスマス用のスフレケーキ（$35）は直径6インチのワンサイズだが、そのほかはいずれも、6インチ（$35）、8インチ（$45）、10インチ（$55）の3サイズ。いずれのケーキもレギュラーサイズ（$4～）があるので、いろいろな味を楽しみたい人には嬉しい。グルテンフリーやデイリーフリー（乳製品不使用）の需要があるのはアメリカならでは。「5年前に比べると、シアトルでも上質のケーキを出すベーカリーが増えていますね。嬉しいことです」と、ベーカリー文化が浸透してきたことを大沢さんは歓迎している。

ベルビュー店がオープン

これまでフジベーカリーがシアトルにしかないために悔しい思いをしていたイーストサイドの住民に朗報。12月からベルビュー宇和島屋店内にフジベーカリーが出店するのだ。

フジベーカリー本店は2009年にオープンしてたちまち大人気に。以来「ベルビューに来て欲しい」との呼び声が高かった。その熱い思いが届いて、今回のベルビュー宇和島屋店内への出店となり、12月1日から営業を開始。これからは橋を越えてはるばるシアトルまで行かなくてもあの食パンや季節のパン、そして繊細な味のケーキが手に入るようになった。

同店広報担当の増田さんは「ベルビューのみなさま、お待たせいたしました。宇和島屋店内でもクリスマスケーキの予約受け付け、引き渡しも承っていますので、ぜひご来店ください」と笑顔で語ってくれた。

 

クリスマスケーキの予約
電話、E-mail、又は店頭で受付。数に限りがあるので早目に予約を。
12月18日予約受付終了。以降は当日店頭販売の数量のみ。