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情熱を胸に抱き、自分らしさを大切に生きる ハンドモデル 永瀬まりさん〜スペシャルインタビュー

ハンドモデルとしての確かなキャリアに加え、妻として、母として、さまざまな表情をインスタグラムで発信している永瀬さん。今年は「起業家」として新たな一歩を踏み出しました。取材中の受け答えからは、物腰の柔らかさの奥にある揺るがぬ信念と情熱、そして一歩一歩着実に前進しようとする姿勢が伝わってきました。

取材・文:フォーリー由香 写真:本人提供

表参道(東京都)にて初のPR発表会を開催

永瀬まり■日米合わせて200本以上のCMに出演し、日本人ハンドモデルとして初めて米国就労ビザを取得し、ニューヨークへと渡る。Tiffany & Co.のワールドキャンペーンをはじめ、大きな仕事をこなすも大病を患い入院。 ワーカホリックだった人生観が変わり、マッチングアプリでの婚活を経て結婚・出産。現在シアトル在住。 @mari_handmodel
ニューヨークからシアトルに移住
「ハンドモデルの仕事が本当に楽しくて、20代はとにかくたくさん働いていました」と語る永瀬さんは、ニューヨークで世界を舞台に第一線で活躍していた。その語り口からもハンドモデル業への情熱が真摯に伝わってきたほど。しかし激務の中、蓄積したストレスや疲労から持病が悪化。日本で2カ月の入院を余儀なくされ、「元の生活に戻れるのか」という不安を抱えながら病院のベッドで過ごしたという。だがこの入院期間は、自身の人生と深く向き合うきっかけにもなったそう。退院後は、30代で家庭を持つという目標に向けて、仕事を理由に後回しにしていた婚活を人生の最優先事項へと切り替えた。そんな中、シアトルへの転職を視野に入れていたご主人と出会い、結婚・妊娠という人生の次のステージへと進む。2021年、妊娠7カ月のころにシアトルに移住。下見で一度訪れたきりだったが、自然が豊かで街もあり、特に家族世帯には暮らしやすい場所だと感じているという。
© Sara Olivia Photographer

コロナ禍に入籍したため、結婚3年目となる昨年撮ったウェディングフォト。育児や家事の上手なご主人にいつも支えられているそう

育児と並行して実現させた起業と商品への思い
シアトルに拠点を移し約4年。モデルの仕事の際は、東京かニューヨークに赴くという生活を送る永瀬さん。起業は20歳のころから意識していた。「モデル業にはピークがあり、なかなか永遠に続けられる仕事ではありません。若い頃は将来を考えると不安でしたし、老いも怖かったです。だからこそ、早い段階から将来のビジョンを描いていました」と語る。自身の代名詞でもある「手」との深いつながりが、起業という道へと形を成したのだ。子どもが生後半年を迎えたころから準備を始め、1歳になるころに本格始動。新天地シアトルにて、初めての育児と初めての起業。頼れる親戚や友人が近くにいない環境で、子どもの世話中心で過ぎる日々に「自分の『個』としての存在がなくなってしまった」、そんな焦りや不安、葛藤に押しつぶされそうになったことがあったという。華やかなモデルの世界と育児のみに専念する生活との間には、大きなギャップがあったに違いない。
今年4月に家族で訪れたカリフォルニアのディズニーランドにて
育児で落ち込んだとき、心に芽生えた思いが、自身が立ち上げたブランド「TAKE MY HAND」の名に込められている。物語の主人公が手を差し伸べて言う台詞をイメージし、「人生の主役はいつだってあなた。誰かのためだけでなく、自分を大切にし、自分のためにも一歩を踏み出してほしい」そんな応援メッセージが込められているのだ。
商品開発までの道のりと東京で行った商品発表会
商品完成までの道のりは決して平坦ではなかった。淡いブルーが印象的なTMHハンドクリームには、成分や香り、質感やパッケージに至るまで永瀬さんの強いこだわりが詰まっている。「育児をしながら、一からすべてを進める作業は心が折れそうになるほど大変でしたが、こだわりが強い自分に起業は合っていました」と語る。クリームの中身は質の高い日本製にこだわり、天然精油のみで作られたオリジナルの香りは国内の別会社に依頼。60パターンにも及ぶ試作は全て国際郵便で取り寄せ改良を重ねた。99パーセントが天然成分で、肌トラブルの原因となりうる9種の成分やシリコンは使わず、さらっとした手触りを実現したそう。ニューヨークで撮影・デザインされたパッケージは、シンプルながらも都会的で凛とした美しさが表現されている。3年かけて理想の仕上がりを目指し、一切妥協のないプロセスを貫き誕生したのだ。
スライドを使用し30分のプレゼンテーションを実施。来場者は熱心に耳を傾けた
今年の4月3日には、東京の表参道で商品発表会を実現させた。雨のなか、美容系ライターや出版関係者など百数十名が来場。発表自体は午後1時と4時の2部制で行われたが、それ以外の時間も会場を開けたまま、来賓や訪問客の個別対応を続けたため、朝から晩までヒールで走り回ったそう。「もはや育児と兼業できる域を超えていました。次回はもっと人員を増やそうと思っています」と振り返る。現在は次なる商品の開発に着手し、アジアやヨーロッパなど販路の拡大を検討している。
最後に、同じように起業を考える女性たちへのアドバイスを尋ねた。「起業を考えるとき『時間やお金を費やしてまで本当にそれをやる価値があるのか?』と悩まれる方もいると思います。しかし挑戦には『成功か失敗』だけでは測れない素晴らしい価値があって、学びや成長、そして出会いもあります。だから未来の自分のために、まずは1歩を踏み出してみてほしいです」その言葉はまさに、「TAKE MY HAND」に込められたメッセージそのもの。差し伸べられたその手は、迷いながらも前を向こうとする人たちの背中をそっと押してくれる。
テーマは「Made in Japan, designed in New York」
バクチオール*1、ビタミンC誘導体*2など、ハンドクリームの概念を覆す贅沢な美容成分を詰め込んだ永瀬さんプロデュースのハンドクリーム「 TAKE MY HAND」日米のAmazonにて購入可能!

*1 整肌保湿成分
*2 ビスグリセリルアスコルビン酸(整肌保湿成分)
www.tmhbeauty.com @tmhbeautycom