Home インタビュー スペシャルインタビュー YOSHIKI〜究極の美学...

YOSHIKI〜究極の美学を追求――その生きざまを見てほしい〜スペシャルインタビュー

究極の美学を追求――その生きざまを見てほしい
YOSHIKI

取材・文:シュレーゲル 京 希伊子

美しいものを愛するYOSHIKIさんは、「美の追求」に人生を捧げています。90年代にロサンゼルスへ拠点を移し、数々の困難を乗り越えながら、音楽の枠を超えた表現を追い求めてきました。これまでの歩みを振り返る中で、「夢」という言葉を何度も口にするYOSHIKIさん。その胸に秘めた、これから成し遂げたいこととは——。7月に控えたロサンゼルス公演に向けた思いや、音楽への覚悟を語ってもらいました。

Photo Courtesy of YOSHIKI

YOSHIKI詞家、作曲家。X JAPANのリーダーとして、ピアノとドラムを担当。米ロックの殿堂マディソン・スクエア・ガーデンでの公演や、米クラシックの殿堂カーネギーホールでの単独公演など、数々の偉業を成し遂げてきた。着物ブランドやハイファッションブランドの立ち上げに加え、映画監督も務めるなど、その活動は多岐にわたる。2023年には日本人として初めて、米ハリウッドのTCLチャイニーズ・シアターで自身の手形・足形を刻印。慈善活動や文化発信にも尽力している。
Photo Courtesy of YOSHIKI

演出に合わせて自在に色を変えるクリスタルピアノ。世界に数台しか存在しない

—7月16(木)、17日(金)にウォルト・ディズニー・コンサートホールで開催されるロサンゼルス公演のテーマを教えてください。

クラシック音楽のスタイルではあるのですが、かなり奇抜な演出を考えています。アートの世界観を表現したいと思っていて、普通のクラシックコンサートとは大きく違う、派手なコンサートになる予定です。実は、ピアノだけでなくドラムも披露します。

—Yoshiki Classicalのワールドツアーという位置づけになるのでしょうか?

これまで多くの海外公演をしてきましたが、今までが「序章」だとしたら、ここから「第一章」が始まる。そういう意味でのワールドツアーになります。自分の故郷である日本からスタートし、ロサンゼルス、パリと、ゆかりの深い場所を巡ります。

ロサンゼルスで暮らして30年以上になるそうですね。アメリカでの生活はいかがですか?

ロサンゼルスは、音楽をはじめとするエンターテインメント業界で「世界の中心地」だと思っています。だからこそ、この地を選びました。もちろん、日本に戻りたくなることはこれまでに何百回もありましたが、「何かを成し遂げるまでは帰れない」。そんな気持ちで30年を過ごしてきました。今でも少しずつ階段を上っている途中です。

Photo Courtesy of YOSHIKI

YOSHIKIさんの美の結晶、クリスタルドラム

—YOSHIKIさんほどの方でも「まだ何も成し遂げていない」とおっしゃるのは大変驚きです。それは「まだまだやりたいことがある」という気持ちの表れなのでしょうか?

僕は総合的に芸術が好きなんですね。ファッションはもちろん、ワインをプロデュースしたりと、「美」というものに強く惹かれています。そこに人生を捧げていますが、まだそれを追求しきれていません。もちろん僕は音楽家なので、作曲もしますし、そうした自分を含めて、「究極の美学」を追求する過程を皆さんに見ていただくことで、少しでも勇気を与えられたらと思っています。

—さまざまなことに挑戦し、成功を収めているYOSHIKIさんですが、もし生まれ変わったら、どんな人生を歩んでみたいですか?

僕がこれまで歩んできた人生は、正直、もう一度歩みたいとは思いません。素敵なファンの方々に恵まれ、感謝の気持ちは大きいのですが、それと同じくらいつらいことが多くあった人生だったので……。いや、過去形ではなく、現在進行形ですね。本当にもう、壊れそうになった瞬間というのは何百回、何千回とありました。同じ人生が待っているかと思うと、さすがにつらすぎて……。それでも、そういう人生だからこそ、自分にしか作れない音楽を生み出すことができたんじゃないかな、と前向きに捉えるようにしています。

Photo Courtesy of YOSHIKI

3月29日、鈴鹿サーキットで開催されたF1日本GP決勝前セレモニーにて。深紅の衣装をまとったYOSHIKIさんが、13万人の観客を前に独自にアレンジした「君が代」を披露。ピアノの繊細さと、ドラムとエレキギターによる高揚感。荘厳さと沸き上がるエネルギーが見事に融合した唯一無二の「君が代」は、新たな歴史を刻んだ

YOSHIKIさんの背負っているものがあまりにも大きくて……画面越しにも伝わってきます。

「神様は乗り越えられない試練は与えない」と自分でも言い聞かせています。

そうですね、もし次に生まれ変わることがあれば、芸術とボランティアをやってみたいですね。僕はチャリティー活動もかなり長い間やっていますが、「人が救われる」ところに自分の生きている意味を感じます。でもやっぱり、来世でも音楽をやっているのかな。子どもの頃から音楽が大好きで、物心ついたときから、ずっと音楽に囲まれて生きてきましたから。

—音楽について伺います。ピアノとドラムでは表現できるものが違うと思いますが、どのように使い分けているのでしょうか?

人にはいろいろな感情がありますよね。悲しかったり、楽しかったり、怒りが込み上げてきたり。僕の場合、ピアノでは悲しみや孤独感を、ドラムでは苦しみや怒りを表現する、といったように、自分の感情の表現方法として楽器を使い分けています。実はトランペットもやるし、ギターも弾くんですが、その中でもピアノとドラムをメインで演奏しています。

Photo Courtesy of YOSHIKI

自身がプロデュースするワイン「Y by YOSHIKI」のボトルデザインを、日本を代表する現代アーティスト、奈良美智さんが手がけた。2人は奇しくも、米TIME誌『世界で最も影響力のある100人』(2025年)に同時選出されている

—YOSHIKIさんと言えば、クリスタルピアノですね。YOSHIKIモデルは、どのような経緯で誕生したのでしょうか?

僕は透き通ったものが好きというか、心もそうですが、ピュアなものが好きなんです。それと、ステージでの演出を考えると、クリスタルピアノは照明に応じて色を変えることができるので、好んで使っていく中で、僕のモデルが誕生しました。ドラムもクリスタルドラムを使っています。

—YOSHIKIさんにとって音楽は人生そのもの。3度の頸椎手術を経て、再びステージに立つ今の覚悟とは?

自分では、この身を捧げるつもりで演奏しています。何年にもわたって激しいドラミングをしてきましたし、ピアノも同じです。それはもう、ある意味で仕方がない。今後、4回目、5回目の手術があったとしても構わない。そういう覚悟で演奏しています。

最後に、アメリカ北西部で暮らす日本人、特に若い人たちへのメッセージをお願いします。

海外で暮らすというのは、大変なことも多いと思います。でも、海外に行きたくても行かれない方たちもたくさんいると思うんです。そういう人たちの分まで、夢を背負っているんじゃないかな。

僕が渡米した30年前は、日本人が海外で活躍するなんて想像することすら難しい時代でした。自分たちが頑張ることによって、日本にいる人たちを勇気づけることができる。皆さんもそう思って、頑張ってほしいと思います。

—「夢を背負う」。素敵な言葉ですね。やはり、夢を持ち続けることは生きるうえで大切ですよね。

自分の人生をどんなレンズで見るか、だと思うんです。暗いレンズで見てしまうと、すべての出来事がネガティブに感じられてしまう。僕は、意識的に努力をしながら、どんなことでも前向きに捉えようと心がけています。僕のレンズは、夢で満ちあふれているようなレンズです。皆さんもそんなレンズで人生を見てみると、きっと希望や夢が見えてくるんじゃないかなと思います。

ぜひロサンゼルスでお会いしましょう。

YOSHIKIロサンゼルス公演、チケット発売中!

4月の東京公演に続き、YOSHIKI CLASSICAL第2弾コンサートがこの夏、ロサンゼルスで開催される。題して「Scarlet Night」「Violet Night」。2日間にわたる公演は、それぞれ違うセットリストで構成される。2024年に頸椎手術を受けたのち、長期のリハビリを経て、アメリカでの本格的な復帰を飾る公演となる。

日程:
7月16日(木)、17日(金)8pm~
場所:Walt Disney Concert Hall
111 S. Grand Ave., Los Angeles, CA 90012
料金:$44.50~$199
チケット・詳細:www.yoshiki.net/disneyhall2026

シュレーゲル 京 希伊子
在シアトル日本国総領事館を経て、新進党本部、在日米国大使館政治部、国連大学でスピーチライターを務める。現在はフリーランスの通訳・翻訳家・ライター。ITマーケティングや文芸作品のほか、ドラマや映画などの字幕翻訳(日⇔英)も手がける。