シアトルの知恵ノート
知っておくと暮らしが豊かになるヒントを、シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に聞きます。
ビギナーにおすすめの不動産投資
今、経済的自立と早期退職を目標とする生き方が若者を中心に注目を集めており、略して「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」とも呼ばれています。不動産投資も、FIRE実現への近道のひとつ。まずはアメリカでの不動産投資の基本を知っておきましょう。
不動産は株や投資信託より初心者向き?
現金がいちばん、と言われていたのはもはや昔の話。貯金だけでお金は増えません。株や投資信託と比べ、不動産投資は急な利益は見込めず、最低でも5年以上の長期投資が基本となるため、二の足を踏む方は少なくないでしょう。空室リスクがあり、修繕などの実費もかかります。一方で、株や投資信託と違い、節税効果が見込め、金融恐慌などによる影響も回避しやすいと言えます。また、円の価値が下がっている昨今は、円安対策や資産分散のために、アメリカ不動産をドル資産と考え、円で不動産を購入する方も日本で増えています。つまり、不動産は一般的な投資の中でも初心者が手を出しやすいという側面があります。
キャッシュフローを理解する
不動産投資におけるキャッシュフロー(お金の流れ)を理解することは重要です。ローンを組む場合は、頭金の金額、想定される月々の返済額と賃料収入、管理費といったコストなどを算出した結果により、ローンの借入額と不動産購入の予算が決まります。
投資物件の購入はローンの金利が若干高くなるだけで、自宅購入とほとんど変わりません。大きな違いは、クロージング(決済)後、自宅用の場合は入居したら終了となるのに対し、投資用ではそこからが本番となること。借り手を見つけて毎月の家賃を回収し、修理の要請に対応するなど、不動産収入源として長期間にわたり育てていく必要があります。
こうした作業は管理会社に一切を任せることも可能です。毎月入る賃貸料でローンを返済し、利息・固定資産税・修理費などは税務上で経費として計上でき、建物は固定資産のため減価償却の対象となるので節税対策にもプラス。将来的な不動産の値上がりを見込み、価格が上がった時に売却すれば、売却益も確保できるというのが、理想的な不動産投資のシナリオです。
複数の物件運用は資金繰りが大切
2件以上の不動産投資では、最初に所有した物件(自宅も可)を担保にしてローンを組むことができます。物件評価額の最大60%の貸し付けが受けられるため、元手が少ない方でも不動産投資が可能です。
たとえば、評価額80万ドルの物件を担保にローンを組む場合、48万ドルまでの物件が購入できます。手元にある現金と合わせて、もっと大きな物件を購入しても良いでしょう。
物件選びのポイント
シアトル近郊での物件選びにもコツがあります。コンドミニアムと一軒家を比べると、一軒家のほうが長期での借り手が見つかりやすい傾向が見られます。立地については、キング郡近郊であれば、マーケットが良好な時期なら問題なく貸せるでしょう。停滞する時期でも、やはり大企業があるエリアから約30マイル圏内の需要は高いようです。
避けたいのは、暗くて狭い、庭が広過ぎる、治安の悪いエリアにある、ショッピングセンターや幹線道路のすぐそば、などの物件。コンドミニアムでは、HOA(管理費)が高額、または水害リスクのある半地下のタイプは避けたほうが無難でしょう。学齢期の子連れファミリーがターゲット層になる場合を除き、学区は最優先事項ではありません。逆に、学区の良いエリアはファミリー層からのニーズがあるため不動産価格も高く、収入より支出の方が多くなりがちで、ローンを組む場合は特にキャッシュフローがうまく回らない可能性も。手元に残る現金が減るデメリットがあります。
投資物件を選ぶ際は、あくまでも「自分は住まない」「貸しやすい」「キャッシュフローが回る」ということに主眼を置きましょう。不動産投資で資産を増やしていくことは、始めてみると意外と簡単。詳しくはYouTube動画で説明していますので、ぜひご覧ください。
森田友子■大阪出身。早稲田大学を卒業後、東京の大手不動産会社にて仲介業に従事。2009年にニューヨークへ移住し、現地の不動産会社にて不動産売買や投資案件を多数仲介。ニューヨークで自宅用のコンドを買って以来、不動産投資を続ける。2015年にシアトル移住。
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