子どもとティーンのこころ育て
アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。
思春期の問題行動の原因
~そのとき、親に何ができるのか~
思春期に入ると子どもが急に反抗的になり、親としては苛立ちや戸惑い、そして不安を感じることが多いでしょう。食事中もスマホから目を離さず、家の手伝いをしない。未提出の宿題が増え、成績も下がる。親子の間で喧嘩に発展するケースも珍しくありません。心身ともに急成長する多感な時期とはいえ、やり切れない気持ちになりますよね。今回は、思春期の子どもの問題行動の原因と、子どもと良好な関係を築くために何ができるかを探ってみました。
10代という時期は、脳の司令塔である「前頭前野」が活発に機能し始める時期。自我が発達し、自分の意思で物事を決めようとするため、親との対立が避けられないことが多くなります。ある程度自分にできることとできないことの境界線が形成されると落ち着きますが、長期にわたり問題行動が続く場合は何らかの重大な原因があると考えた方がよいでしょう。原因を探ることをせずに、親が焦って表面の問題行動のみを正そうとすると、子どもは感情を押し殺すか、逆に爆発させて親子関係が悪化する可能性があります。問題行動の背景を理解し、解決に向けて支援することが不可欠です。
主な問題行動の原因
❶ 人間関係:友人や恋愛関係での悩み、学校や習いごとの先生とのトラブルなどで孤独感や疎外感を感じている
❷ いじめ・性的搾取・トラウマ:仲間外れにされたり、侮辱されたり、身体的暴力、いじめや性被害に遭っている、トラウマ的な経験をした
❸ 劣等感:学業やスポーツで成功しないと自分には価値がないと思い込み、他者と自分を比較して劣等感や過度のプレッシャーに苦しんでいる
❹ 過干渉・過保護・無関心な子育て:親があれこれ口出ししたり、何でもやってあげることで反抗心や依存心が強まる。親が無関心な場合は、関心を引くために試し行動を繰り返す。
❺ 家庭内の不和や精神疾患:夫婦喧嘩や引きこもり、精神疾患の家族により、怒りや不安、無力感を感じている
❻ 発達障害・学習障害:未診断・未治療の発達障害や学習障害が原因で、授業に集中できず、勉強についていけないことへの強いストレスや不満、怒りを感じている。
こうした状態を放置しておくと、うつ病や不安障害、反抗挑戦性障害 (ODD) などの精神疾患を発症するリスクが高まります。
それでは、事態を悪化させないために親にできることは何でしょうか? それは、子どもの気持ちをそのまま受け止め、「自分はこの世界に存在していいんだ」という安心感を育てることです。子どもは不安を感じると攻撃的または閉鎖的になることがありますが、安心感があれば心を開き、自発的に行動できるようになります。
子どもの気持ちを受け止める準備として、まずはあなた自身の気持ちを否定せずに受け止める練習をしましょう。「不登校や引きこもりになったらどうしよう」「お酒やドラッグに手を染めないか心配」「夫が話を聞いてくれない」など思いつくままノートに書き出します。次に「子どもと笑ってご飯を食べたい」「穏やかに話したい」など、こうありたいという望みを書き出します。そして、自分にできることを書き出してみましょう。たとえば「子どもの長所を毎日3つ伝える」などです。また、自分の思春期を振り返り、当時親にしてほしかったことやされて嫌だったことなどを書き出し、過去の自分の本音も受け止めてあげましょう。もしかしたら、思春期の頃のあなたと子どもとの共通点を発見するかもしれません。
次に、子どもの表情やしぐさをよく観察してください。たとえば、元気がないことに気づいたら「ちょっと疲れてる? 何かしてほしいことがあれば教えてね」と優しく聞いてみましょう。子どもが何も答えなかったとしても、親が気にかけていることは伝わります。問題行動を取る子どもほど、実は誰かの助けを求めています。急には変わらないかもしれませんが、本当に困った時に思い出すのは自分を信じて受け入れてくれる人です。今のままの子どもで100点満点というスタンスで、子どもが自立する力を信じてあげましょう。
10代という時期は、脳の司令塔である「前頭前野」が活発に機能し始める時期。自我が発達し、自分の意思で物事を決めようとするため、親との対立が避けられないことが多くなります。ある程度自分にできることとできないことの境界線が形成されると落ち着きますが、長期にわたり問題行動が続く場合は何らかの重大な原因があると考えた方がよいでしょう。原因を探ることをせずに、親が焦って表面の問題行動のみを正そうとすると、子どもは感情を押し殺すか、逆に爆発させて親子関係が悪化する可能性があります。問題行動の背景を理解し、解決に向けて支援することが不可欠です。
主な問題行動の原因
❶ 人間関係:友人や恋愛関係での悩み、学校や習いごとの先生とのトラブルなどで孤独感や疎外感を感じている
❷ いじめ・性的搾取・トラウマ:仲間外れにされたり、侮辱されたり、身体的暴力、いじめや性被害に遭っている、トラウマ的な経験をした
❸ 劣等感:学業やスポーツで成功しないと自分には価値がないと思い込み、他者と自分を比較して劣等感や過度のプレッシャーに苦しんでいる
❹ 過干渉・過保護・無関心な子育て:親があれこれ口出ししたり、何でもやってあげることで反抗心や依存心が強まる。親が無関心な場合は、関心を引くために試し行動を繰り返す。
❺ 家庭内の不和や精神疾患:夫婦喧嘩や引きこもり、精神疾患の家族により、怒りや不安、無力感を感じている
❻ 発達障害・学習障害:未診断・未治療の発達障害や学習障害が原因で、授業に集中できず、勉強についていけないことへの強いストレスや不満、怒りを感じている。
こうした状態を放置しておくと、うつ病や不安障害、反抗挑戦性障害 (ODD) などの精神疾患を発症するリスクが高まります。
それでは、事態を悪化させないために親にできることは何でしょうか? それは、子どもの気持ちをそのまま受け止め、「自分はこの世界に存在していいんだ」という安心感を育てることです。子どもは不安を感じると攻撃的または閉鎖的になることがありますが、安心感があれば心を開き、自発的に行動できるようになります。
子どもの気持ちを受け止める準備として、まずはあなた自身の気持ちを否定せずに受け止める練習をしましょう。「不登校や引きこもりになったらどうしよう」「お酒やドラッグに手を染めないか心配」「夫が話を聞いてくれない」など思いつくままノートに書き出します。次に「子どもと笑ってご飯を食べたい」「穏やかに話したい」など、こうありたいという望みを書き出します。そして、自分にできることを書き出してみましょう。たとえば「子どもの長所を毎日3つ伝える」などです。また、自分の思春期を振り返り、当時親にしてほしかったことやされて嫌だったことなどを書き出し、過去の自分の本音も受け止めてあげましょう。もしかしたら、思春期の頃のあなたと子どもとの共通点を発見するかもしれません。
次に、子どもの表情やしぐさをよく観察してください。たとえば、元気がないことに気づいたら「ちょっと疲れてる? 何かしてほしいことがあれば教えてね」と優しく聞いてみましょう。子どもが何も答えなかったとしても、親が気にかけていることは伝わります。問題行動を取る子どもほど、実は誰かの助けを求めています。急には変わらないかもしれませんが、本当に困った時に思い出すのは自分を信じて受け入れてくれる人です。今のままの子どもで100点満点というスタンスで、子どもが自立する力を信じてあげましょう。