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国際カップルのためのハーグ条約 Q&A

黙って子供を日本に連れ帰ったらどうなる?
国際カップルのためのハーグ条約 Q&A

 

原則として子を元の居住国へ返還することを義務付けている「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」。
米国人と結婚した日本人が、子どもを米国から日本へ連れて行くと返還申請対象になり、裁判へ対応する必要性が生じるほか、場合によっては誘拐罪として重罪に問われることも。
架空の事例をもとに、Q&A方式でハーグ条約について学んでおきましょう。
外務省領事局ハーグ条約室に聞きました。

こんな国際カップルでシミュレーション

・父(米国籍)と母(日本国籍)は2008年に米国にて結婚。

・2010年に子(日米二重国籍)が誕生。

・親子3人は米国で共に生活していた。

・2018年8月に母が父の同意なく子を日本に連れ帰った。

・現在、父が子の返還を求めている。

ハーグ条約の条件を満たす=日本から米国に子を返還
(1) 子が16歳未満であること、

(2) 連れ去りの時点で、子の常居所地国(米国)と連れ去り先の国 (日本)がハーグ条約締結国であること、

(3) 常居所地国(米国)の法令によれば、父の監護の権利が侵害されていることの条件を満たすので、ハーグ条約の下、原則として常居所地国である米国に子を返還することになる。

なお、子が返還されるのは、あくまで子の常居所地国であり、返還を求めた者(上記事例では父)の元ではない。
Q. 父と母が離婚していた場合、どうなりますか?
A. 父母が離婚していたとしても、父が監護の権利を有している場合(いわゆる共同親権など)は、父の監護の権利が侵害されていることになるので、原則として米国に子を返還することになります。
Q. 父の国籍が日本だった場合はどうなりますか?
A. ハーグ条約は、あくまで原則返還ですが、親子の国籍如何にかかわらず適用されるので、上記事例の父母双方が日本国籍であっても、原則として米国に子を返還することになります。
Q. 原則は返還とのことですが、例外はないのですか?
A. ハーグ条約は、例外として返還拒否事由につき規定しています。たとえば、日本での返還裁判においても、子の返還の申し立てが連れ去りの時または当該留置の開始の時から1年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応している、といった場合に、不返還との結論に至ったものがあります。
Q. 母がハーグ条約に基づき逮捕されることはありますか?

A. ハーグ条約に基づき逮捕されることはありません。もっとも、監護権の侵害が犯罪とされる国では、ハーグ条約とは無関係に逮捕されたり刑事訴追されたりする可能性があるので注意が必要です。

ハーグ条約にまつわる申請
日本の中央当局である外務省ハーグ条約室では、当事者間の連絡の仲介、弁護士紹介制度の案内、面会交流支援機関の紹介など、日本で返還請求された場合の援助を実施しています。
数週間で友好的に解決する例もあれば、裁判に進み1年以上かかる例もあります。
※2014年4月1日(日本におけるハーグ条約発効日)から2019年2月1日時点での数字。

  • 返還援助申請 合計200件

日本に所在する子に関する申請 104件
(うち援助決定したものは90件、米国からの申請は24件で最多)

外国に所在する子に関する申請 96件
(うち援助決定したものは85件、米国は17件で最多)

※申請件数は2014年度44件、2015年度40件、2016年度40件、2017年度34件でほぼ横ばい。

 

  • 日本に所在する子に関する申請で援助決定がなされた90件のうち

返還が確定 39件

不返還が確定 32件

継続中 16件

その他(取下げなど) 3件

 

  • 外国に所在する子に関する申請で援助決定がなされた85件のうち

返還が確定 34件

不返還が確定 19件

継続中 28件

その他(取下げなど) 4件

 

【動画で知るハーグ条約はこちらから…

【問い合わせ】

在シアトル日本国総領事館

601 Union St., #500, Seattle, WA 98101

206-682-9107(平日9am~5pm)

 

外務省領事局ハーグ条約室

100-8919 東京都千代田区霞ヶ関2-2-1

03-5501-8466(平日9am~5pm)

hagueconventionjapan@mofa.go.jp

 

ハーグ条約についての詳細はソイソース2018年5月25日付の記事でも紹介しています。