米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) の五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。
本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。
移民局の申請審査期間
移民局が申請を受理してから審査が完了するまでの期間を「Processing Time」といいます。この審査期間は申請の種類や地域、またその時々に移民局が処理している申請数や移民局内のリソースやポリシーの変更といったさまざまな要因で変動しやすく、将来の予想が難しいもののひとつと言えます。そのため、申請者に混乱や不安を与えてしまうことがあります。
申請の審査期間の確認方法
大半の申請は移民局のウェブサイト(https://egov.uscis.gov/processing-times)にて、①申請書番号、②申請カテゴリ、③審査が行われている移民局の情報を選択すると、直近の審査期間が表示されます。ただし、表示される審査期間は過去6カ月に処理された80パーセントの申請にかかった期間に基づいた数字のため、個々の申請にかかる絶対的な期間を保証するものではありません。あくまで参考程度に受け止めることをお勧めします。
審査についてのアップデートのリクエスト方法
審査期間が移民局のウェブサイト上の表示期間を上回っている場合(長くかかっている場合)、移民局に自身の申請のアップデートをリクエストできる可能性があります。上記のProcessing Timeのページに申請受領日(申請受理書に記載がある「Receipt Date」)を入力すると、申請が通常の審査期間を超えているかどうかがわかります。超えている場合は、問い合わせリンクが表示されるので、必要事項を入力して送信すると、後日移民局から返信が届きます。
もし、通常の処理期間内の場合は、移民局への問い合わせが可能になる予定日が表示されます。ただし、この予定日も審査期間の変動とともに頻繁に変更されることがあり、問い合わせ可能日が延長されるケースも少なくありません。審査が長引けば問い合わせ予定日も延びるため、注意が必要です。
シアトル地域で行われている申請の審査期間
ここからは、シアトル地域で行われている申請を例にとってお話します。たとえば、シアトル地域移民局で行われている帰化申請の審査期間を調べると、8割の申請が6カ月半で処理されていると表示されますが、実際には2~4カ月で審査が終了するケースが大半です。
また、グリーンカードの更新申請については、約8割が26カ月で処理されていると表示されますが、当事務所での申請例では1週間ほどで認可される申請もあれば、1年、さらには3年近くかかるケースもあります。現在、グリーンカードの更新に関しては、審査期間が全体的に長くなっている状況にあります。そのため移民局は2024年9月10日より、グリーンカードの更新申請を提出した保持者に対し、有効期限を36カ月間延長することを発表しました。
以前の記事でグリーンカードの有効期限を24カ月間延長することが申請受理書に記載されることになったとお伝えしましたが、2024年9月10日以降に発行された申請受理書にはグリーンカードの有効期限から最長36カ月間一時的に延長すると記載されています。移民局はその時々に応じて一時的な延長期間を変更することがあり、このことからも、グリーンカード更新の審査期間の長期化がわかります。
上述の通り、審査期間はさまざまな要因に影響され、突然変動することも珍しくありません。定期的に確認しながら、参考として考慮しておくとよいでしょう。