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2024 年会計年度の H-1B ビザ発行の状況〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

2024 年会計年度の H-1B ビザ発行の状況

移民局が一会計年度に発給できる一般枠のH-1Bビザの数は6万5,000件、米国修士号枠は2万件です。すでに本コラムでもお伝えしたように、会計年度2024年のH-1B申請に関して、移民局は今年3月に抽選を行い、当選者は4月1日から6月30日までの間にH-1B申請を移民局に提出しました。それらは、すでに結果が出ているものもあれば、現在も移民局が審査中のものもあります。

そんな状況下で、移民局は2回目の抽選を行うことを発表しました。これは申請受け付け当初には予定されておらず、1回目の抽選・申請だけでは会計年度の枠を満たすことができないとの判断があったものと思われます。

2024年分に関しては、過去に比べて抽選申し込み数の著しい増加が見られたものの、不正が疑われる申し込みも多数あったようです。移民局は、それらの不正な申し込みの調査や取り締まりを続けており、抽選後に不正が確認された場合はH-1B棄却の決定をしたり、すでに認可したケースにおいても認可取り消しの措置を取ったりしています。

2回目の抽選はすでに終了していて、もし抽選で選ばれると、当選者のmyUSCISアカウントが更新されます。当選はビザ申請の認可ではないので、当選者は次に申請のステップへ進むことになります。新規当選者の申請には、少なくとも90日間の期間が与えられます。なお、オンラインでの申請はできず、またH-1Bの申請条件を満たしていることを証明する必要があります。

指紋採取日の変更がオンラインで可能に

移民局の申請では、申請者のバイオメトリックス情報(指紋・顔写真・サイン)を求められるケースが多数存在します。以前に移民局で採取を受けたことがある申請者は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による制限下ではかなりの割合でアポイントメントが免除されていました。この免除措置は、現在も引き続き採用されています。

アポイントメントを必要とする申請では通常、移民局により申請後1~3カ月以内に採取日が指定されます。しかし、その通知から実際にスケジュールされた採取日までの期間が2週間くらいしかないこともあります。そうしたケースでは、申請者側のスケジュールが合わないという状況も考えられるでしょう。もちろん、アポイントメント変更をリクエストすることは可能ですが、これまでは移民局のコンタクト・センターに電話で連絡し、依頼する必要がありました。この時点で問い合わせ番号は発行してもらえるものの、その後の移民局からの連絡が数カ月後になってしまうなど待機期間が発生し、きちんと処理されているのか確認することすら非常に困難でした。

そこで新たに導入されたのが、アポイントメントのオンライン・リスケジュール機能です。一部の例外を除いてアポイントメント変更がオンラインでできるようになりました。以下の条件を満たす申請者は、myUSCISアカウントからの利用が可能です。

•予定されているアポイントメントが未来の日付であること
•リスケジュールのリクエストに正当な理由があること
•リスケジュールを2回していないこと
•対象となる申請が、次に該当しないこと
I-600(申請者の孤児としての請願)
I-600A(申請者の孤児としての事前申請)
I-800(国際条約下の養子請願)
I-800A(国際条約下の養子判断申請)

これらの条件から外れる場合、またはアポイントメントの日付を過ぎてしまってからのリクエストには、以前と同じようにコンタクト・センター(☎1-800-375-5283)に電話で連絡をすることになります。新しいアポイントメントがスケジュールされると、myUSCISアカウントの「Submitted Requests」欄に新しい通知(I-797Cフォーム)の表示があります。

なお、移民局では、アポイントメント時に以下のものを持参するように指示しています。

•アポイントメントの通知
•有効な政府発行フォトID(グリーンカード、パスポート、 運転免許証など)
移民局に提出した申請書のコピーも保管しておきましょう。

 

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118