知っておきたい身近な移民法
米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) の五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。
本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。
新規Eビザ企業登録方法の変更
Eビザは、E-1(条約貿易家ビザ)と、E-2(条約投資家ビザ)の2種類に分かれています。E-1はアメリカと申請者の国との間で交わされた通商条約、E-2は投資条約が基底となって発給されるビザです。
企業は社員、あるいは経営者のために E ビザを申請する際の第一段階として、東京の米国大使館、または大阪の米国領事館にて企業登録を行います。大使館と領事館で審査基準や方法に違いはありませんので、通常は申請者の居住地や会社の所在地を管轄するほうを選んで登録します。企業登録の目的は、主に企業の国籍や実態、貿易(E-1)または投資(E-2)の証明で、Eビザ発給に当たり企業としての資格を満たしているかどうかの審査となります。これまでは申請書類を大使館に郵送する必要がありましたが、6月1日より申請書類提出が電子化されました。7月1日からは完全電子化され、郵送による申請書類は受理されません。
新規Eビザ企業登録手続きについて説明します。登録が済んでいない企業を通して、個人の申請を行うことはできません。しかし、その企業にとって最初のEビザを申請する場合、企業登録申請時に、アメリカの会社に赴任する個人の申請書類も一緒に提出しなければなりません。個人の申請書類を提出せずに、企業の手続きを行うことはできません。新規Eビザ企業登録に必要な書類のリストおよび手続きに関しては、米国ビザインフォーメーション・サービスの公式サイト(www.ustraveldocs.com/jp_jp)に詳細が記載されています。以下の3ステップが主な申請の流れとなります。
ステップ1
上記の米国ビザインフォーメーション・サービスの公式サイトでビザ申請者の登録を行い、ビザ申請料を支払います。この時、面接の予約は入れません。
ステップ2
必要書類を大使館にEメールで送付します。なお、審査を円滑に進めるため、書類の枚数やサイズの制限を始め、Eメールの件名、フォルダー作成からタブの表示、PDFフォーマットでの書類作成、どの書類をどのタブ内に保存するかなど、提出の仕方に関して細かい指示があります。不備がないよう確認が必要です。
ステップ3
書類審査が終わり次第、面接の予約を入れます。面接は、申請書類を提出した大使館・領事館で行われます。
新規Eビザ企業登録において、一般的な留意点は以下の通りです。
- 全ての書類は一緒にまとめて1回のEメールで送信します。
- 提出を求められている書類以外のものは提出しません。
- 大使館・領事館が提出書類をレビュー後、追加書類や情報の提出を 求められる場合もあります。
- 全ての提出書類には英訳が必要です。大使館・領事館には日本語 がわかるスタッフがいますが、日本語の書類には英訳を付けます。
- 大使館・領事館から連絡があるまでは、審査状況の問い合わせは控 えましょう。
- 書類審査が終わるまで、面接の予約は取れません。
なお、今回の変更は、新規Eビザ企業登録の手続き方法のみで、Eビザの申請条件に変更はありません。
・少なくとも企業の50%を申請者と同じ条約国の国籍者が所有 していること。
・申請者本人が企業の所有者である、または管理職か重役職に 就いている、あるいは企業の運営に必要不可欠な専門的知識・ 技術を持っていること。
・米国と条約国の間で、すでに多量の貿易(貿易の額や継続性) が行われていること。
・申請者は、E-1ビザの有効期限が切れた時点で出国する意思 があること。
・米国と申請者の国との間に投資条約が交わされていること。
・少なくとも企業の50%を申請者と同じ条約国の国籍者が所有していること。
・申請者本人が企業の所有者である、または管理職か重役職に就いている、あるいは企業の運営に必要不可欠な専門的知識・ 技術を持っていること。
・すでに多額の資金を米国企業に投資している、または、する過程にあること。
・申請者は、E-2ビザの有効期限が切れた時点で出国する意思があること。