特別インタビュー マグナス社 会長 鳥居欣一さん
ポーラの米国進出をきっかけにアメリカへ
1959年に大学を卒業した鳥居さん。歴史的就職難の中、ポーラ化粧品への入社が決まった。「大学の教授に、小さい会社なら好きな研究ができるからと言われて。規模は小さくても、最高の原料と素晴らしい技術があり、品質重視。コスト高でもより良いものを、という姿勢はマグナス社にも通じます。私という人格形成の源、必要なこと全てをここで学びました。約20年いましたからね。感謝しかありません」。最近もポーラ化粧品OB会でスピーチをする機会があり、温かく迎えてもらったそう。故・鈴木忍 前社長の墓参りは今も欠かさない。「海外進出は社長の夢でもありました」
1963年から同社のアメリカでの拠点作りに携わった鳥居さん。日本からもスタッフが応援に駆け付けたが、悪戦苦闘の日々が続いた。「なかなか、思い通りに行かず、私はストレスで体調を崩してしまいました」。そんな時、ある製薬会社から頼まれて新製品を試してみたところ、医者にかかっても治らなかった神経性の下痢症状が収まり、想像以上の効果に驚く。その製品とは栄養補助食品のニンニク錠剤だった。そこで、健康の重要性を改めて感じ、独立して健康食品業界に参入することとなった。口コミで徐々に販売網が広がり、優秀なスタッフも集まったが、最初の4年間ほどは苦労したと鳥居さんは振り返る。
時代は80年代に突入していた。そこで転機が訪れる。アメリカで増え続けていた韓国系移民コミュニティーで、ある商品が爆発的に売れ始めたのだ。韓国系の著名バイオリニストの体験記事広告が決め手となり、健康にお金をかける多くの韓国人が買い求め、瞬く間に全米で大ブームに。それはシイタケ菌糸体を精製した錠剤で、肝臓を強化することから二日酔いも防ぐとされる主力商品だ。しかし、一躍ブームになると、必ず模倣品が出回る。
反対に悪意のある誹謗中傷の記事が載って、大変な危機に陥った。しかし、全米にいる数多くの愛用者の支えもあって、危機は脱出。現在も同商品の人気ぶりは変わらない。
マグナス社の商品は創業当初からの愛用者も多い。「自分の健康は自分で創る」とスローガンを掲げ、品質にこだわり続けて40年。扱う商品数は30種を超え、現在は米国ほか、日本や海外にも市場を広げて成功を収めている。「40年続けてこられたのは、愛用者の皆さまのおかげ。本当に感謝しています」
健康は毎日の習慣の積み重ねから
鳥居さんは栄養補助食品の役割について、次の3つを挙げる。
- 毎日の食事で不足する栄養素を補う。
- 今の食品に欠落している栄養素を補う。
- 消耗しがちな栄養素を補う。
「化学肥料などの要因から、食材そのものの栄養素が減っています。栄養補助食品はそれを補うもの。ニンニクやシイタケなど、昔からある食品の体の機能を高める成分に注目し、栄養補助食品として提供しています」
健康産業は教育産業と言い切る鳥居さんは、インターネットからではない本当の知識が健康を助けると信じている。健康長寿社会を目指す試みも、すでにいくつか始めている。「日本では長生きする人は多いけれど、75歳以上は要介護の人が目立ちます。これが売れたら次はこれ、では不健康産業。儲けを出すことだけを目的とせず、日本だけではなく世界に向けて、本当に健康に良いものを発信していきたい」
その試みのひとつとして「健康になるカレンダー」を毎年、無料で希望者に配布している。カレンダーには3つのチェック項目が設けられ、朝食をおいしく楽しく食べられたかどうか、運動できたかどうか、睡眠をきちんと取れたかどうか、毎日〇、△、×で自己判定して記入。「これぞ健康の定義。×を3日以上続けず、4日目には必ず〇にするようにします。人間のリカバリー力は素晴らしい。それを続けるだけで、みんな健康になれますよ。食事は和食がいちばん。ご飯と一緒にいろんなおかずを食べられますからね。昔から食べられている梅干しなど、健康になれる食品も豊富です」。健康はお金では買えない。生活習慣を見直し、健康体になってこその栄養補助食品だと力説する。鳥居さん自身も、82歳とは思えない若々しさ。
いちばんの健康長寿の秘訣は、今もなお新しいことにチャレンジし続け、それを楽しむ「好奇心」だと最後に笑顔で教えてくれた。
（ダイヤモンド社）
■お問い合わせ■
Magnus Enterprises, Inc.
22301 S. Western Ave., #104, Torrance, CA 90501
☎310-782-9657
info@magnususa.com
ウェブサイト
