今回から始まる連載「今月の季語」では、俳句で使われる季語を紹介していく。季語とは俳句で特定の季節を表す言葉だ。季節は新年、春、夏、秋、冬の五つに区分される。新年の季語には「初」がつく語句が多い。初をつけると何でもめでたくなる。元旦に昇る太陽は「初日(はつひ)」、明け方の空は「初東雲(はつしののめ)」「初茜(はつあかね)」「初凪(はつなぎ)」といった具合だ。そしてタイトルの「初富士(はつふじ)」は、元日に初めて仰ぎ見る富士山のこと。晴れた日には色々な場所から富士山が見えるが、昔は江戸から望む富士山のみを初富士と読呼んでいた。では例句を見てみよう。
レニア吟社の名誉会長である高村笙子さんの句。シアトルには富士山がないので、「初富士」を「初レニア」と読み替えている。在米六十年を迎えた新年の感慨がある。
レニア吟社幹事 ひさを