二月四日は「立春」、暦の上では春である。立春は節分の翌日にあたり、寒気の中にもかすかな春の兆しが感じられる。立春をもって寒は開ける。今月ご紹介する季語「余寒」は寒明け後の寒さを云う。「春寒」には春でありながら寒いという印象があるのに対し、余寒には寒が明けてもなお寒さが残っているという気分がある。
同じような季語に「冴え返る」があるが、暖かくなりかけた頃にまた寒さが戻ってくることを言う。似たような季語であるが、先達の俳人たちはこの微妙なニュアンスの違いを俳句として詠み分けているのが興味深い。「余寒」の例句を見てみよう。
高浜虚子(一八七四〜一九五九)
俳人、小説家。愛媛県出身、正岡子規に師事。俳誌「ホトトギス」を継承して主宰、多くの門人を育てた。句風は客観写生、花鳥諷詠。鎌倉には50年ほど住んだ。
(参照:合本俳句歳時記、角川俳句大歳時記、増殖する俳句歳時記、清水哲男など)
レニア吟社幹事 ひさを