「新緑」とは心が洗われるような初夏の若葉の緑をさす。
若葉は緑の柔らかさを感じさせ、新緑は目覚めるような溌剌(はつらつ)とした感じを抱かせる。夏の到来を告げる清新さは「新緑」のさわやかな響きがたもたらすもの。(高野ムツオ)
では例句を見てみよう。
5月、新緑が美しい時期にハイキングに出かけた。山道に入ると覆いかぶさるような新緑がどこまでも続く。やがて吊橋のかかる渓流が現れると目の前が開け、新緑の森から一時的に開放される。しかし吊橋を渡ると又新緑に覆われた山道が続いている。新緑という季語のリフレインによって、新緑に覆われた初夏の山の景色が浮かぶ佳句である。
高村笙子
レニア吟社名誉会長、宮城会(お琴)の創設者。
(参照:角川俳句大歳時記)
レニア吟社幹事 ひさを