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今月の季語 「沈丁花」

ジンチョウゲ科常緑低木の花。中国原産。庭木として植えられることが多く、早春から開花する。甘い強い香りが特徴で、その姿よりも香りで花が咲いたことを知る。和名の由来は沈香(じんこう/伽羅/樹液が固まって特有の香りを放つようになったもの)と丁字(ちょうじ/クローブ)の香りをあわせ持つからとも、香りが沈香で花の形は丁字であるからともいわれる。沈丁花は夜でも香ってくるし、からりと晴れた日よりも、雨模様の重く沈んだ空気の方が香りが強くなるようだ。多くの俳人が沈丁花の俳句を詠んでいるが、その暗くひっそりとしたイメージから「密かに人を想う女ごころ」を詠んだ句も多い。石川さゆりのヒット曲に『沈丁花』がある。
では例句を見てみよう。

今月の季語 沈丁花 沈丁の香強ければ雨やらん 松本たかし

松本たかし(一九〇六〜一九五六)
東京都出身の俳人。高浜虚子に師事。俳誌「笛」を創刊、主宰。芸術性の高い高雅な句を作り、ホトトギスでは川端茅舎、中村草田男らと並び称された。(参照:合本俳句歳時記、ウィキペディア−松本たかし)

レニア吟社幹事 ひさを