今から考える日本への永住帰国
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介護保険は前回紹介した医療保険と異なる制度です。医療保険は病気やけがをしてその治療を受ける際に給付されるサービスですが、介護保険では高齢者が介護を必要とする状態になった場合に、各種の介護サービスを受けることができます。
介護保険制度の概要と加入該当者
日本の介護保険制度は高齢化が進み、加齢による寝たきり、認知症など、ひとりで生活することが困難な人が急増する中、社会全体でこうした高齢者の介護を支える仕組みとして平成12年(2000年)に施行されました。国が介護費用の大部分を負担する公的サービスであり、2022年1月現在、ワシントン州で導入を延期、審議中ですが、まだ米国にはない制度です。医療保険と同様に日本国内居住者(住民登録者)であれば誰でも加入できます。
医療保険のように75歳以上は別の制度(後期高齢者医療制度)になるといった仕組みはありませんが、介護保険では2タイプの加入者(被保険者)に分けられます。
■ 第1号被保険者:65歳以上の人
■ 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者
第1号、第2号被保険者によって保険料や給付サービスの内容が異なります。
介護認定と介護レベル
介護保険では国が介護費用の大部分を負担するため、誰でも手軽に受けられるというわけではありません。加齢や傷病によって体の自由が利かなくなり、介護を受ける必要がある状態になければサービスを受けることができません。
たとえば、医療保険のように、体調が悪い日に自分で病院へ行って診察を受け、すぐに給付を受ける(医療費を補助してもらう)ということはかないません。実際に介護が必要かどうか、どの程度の介護サービスを必要とするかを事前に審査することが求められます。これを介護認定と言います。
審査を希望する場合は各市区町村に連絡し、審査を受けますが、そこで認定されて初めて介護保険を利用してサービスを受けることができます。もし審査の結果、介護の必要がないと認定されれば、介護保険を通してのサービスは受けられません。介護認定は、必要な介護の度合いによって要支援1、2、要介護1〜5の7段階に区分されます。
介護認定後に受けられるサービス
介護保険が適用される具体的な介護サービスは、食事、排泄、衣服の着脱、掃除、歩行の支えなど日常生活に関わるものですが、介護レベルによって内容は変わります。また、サービスを受ける場所によって、①居宅サービス、②地域密着型サービス、③施設サービスに分けられます。
①は介護サービス事業者に自宅へ来てもらってサービスを受ける形態、③は介護施設へ入所してサービスを受ける形態です。②は必要に応じて通所したり、緊急コールで事業者に自宅へ訪問してもらったりする形態となります。また、①の居宅サービスには、介護福祉用具の導入や自宅の改修(スロープや手すりの設置ほか)など、自宅でなるべく不自由なく生活できるようにするサービスも含まれます。
こうした介護サービスを受けた場合、かかった費用のうちの9割を国が負担するので、1割だけを自己負担分として事業者に支払います(一定の所得がある場合は2、3割を負担)。
介護保険料
第1号被保険者では各地方自治体ごとに前年の所得によって保険料額が設定され、その支払いは自分で納付する方法と、年金受給者は毎月の年金受給分からの控除も選択できます。米国から日本に本帰国した場合の最初の年は日本における前年の所得がありませんので、その保険料は低所得者扱いで安くなります。
たとえば「夫:72歳、妻:68歳」のケースで米国から東京都内に転居した場合の夫婦2人分の合計保険料は次の通りです。2年目以降は前年の所得に応じて保険料が変わりますが、ここでは「夫:年金収入250万円/妻:年金収入75万円」と想定して算出しています。
■ 転入した年:約5万7,000円(月額:約4,700円)
■ 2年目:約15万6,000円(月額:約1万3,000円)
(備考)・端数処理しているので目安としてください。
・支払いは月単位となります。
・第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の方の介護保険料は
上記より安価です。
以上が現行の制度となります。しかし、高齢化が進み、介護を必要とする人の数は増加の一途をたどっています。そのため、介護施設が足りず、入所まで待機させられるケースもあるようです。
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