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第19回 家族のために自分の遺族年金を確認しよう
自分が亡くなった時、遺族である妻や夫、子が遺族年金をもらえるかどうか、またもらえる場合にどれくらいの金額なのかご存じですか? 重い病気を患い余命宣告されている方を別として、なかなか自分の死後の状況は考えにくいものです。しかし、遺族年金は遺族にとって大変重要なもの。今回は、日本の年金受給者が亡くなった場合の遺族年金について紹介します。
遺族年金の仕組み
遺族年金とはどのようなものなのでしょうか? 種類ごとの内容や要件について説明します。
(1)遺族年金の種類
日本の公的年金は、就労者が勤務先企業を経由して加入する厚生年金と、それ以外の全ての人(自営業者、主婦、学生など)が加入する国民(基礎)年金の2種類です。それぞれに遺族厚生年金、遺族基礎年金がありますが、受給対象となる遺族の範囲は異なります。
遺族厚生年金の受給対象者は配偶者で、受給額は亡くなった加入者が受給している(する予定)の老齢厚生年金額の4分の3。一方、遺族基礎年金は子(18歳未満)がいる配偶者、または子自身で、受給額は下の表の通り一律です。子のいる厚生年金加入者が死亡した場合、配偶者には遺族厚生年金、遺族基礎年金の両方が支給されます。
(2)遺族年金が支給される場合の年金加入要件
遺族年金が支給されるには、加入者の要件として下記のいずれかが必要です。
①年金加入中の現役世代の人(厚生年金加入中の日系企業駐在員や国民年金任意加入者など)
②現在は年金に加入していない人で過去の加入期間(保険料納付または免除の期間)が25年以上の人
海外居住者の場合は、②について25年以上なくても、カラ期間または居住国(アメリカを含む、日本と社会保障協定を締結している国)の年金加入期間と通算(合計)して25年以上でも要件を満たします。
(3)遺族の受給要件
配偶者、子とも、①死亡した年金受給者(加入者)によって生計を維持されていた、②年収が850万円未満である、といった要件により受給が可能になります。
請求手続き
老齢年金同様、必要書類一式を日本全国にある年金事務所で提出するか、海外から郵送します。委任状があれば、日本にいる代理人(親族、知人、社会保険労務士など専門業者)が請求することもできます。インターネット経由でのオンライン手続きには対応していません。
提出する必要書類ですが、加入者の死亡や家族関係を証明するものが必要となります。日本には戸籍や住民票、所得などに関する証明書(公文書)の交付制度が整備されていて便利なのですが、海外ではそうした制度が整備されていないケースが多く、書類の準備もやや面倒です。
右上の表は日本居住者と海外居住者それぞれの基本となる提出書類の一覧です。海外居住者でカラ期間、居住国の年金加入期間と通算するケースでは、その他の書類も必要ですので、日本年金機構や当社へ個別にお問い合わせください。
関連情報
日本の年金受給者が、遺族のための備えとして知っておきたいことをまとめました。
①死亡一時金
死亡者の加入期間が足りず、遺族基礎年金が受給できなくても、36カ月以上加入していた場合には遺族に一時金が支給されます。ただし、死亡後2年以内の請求手続きが必要です。
②遺族年金の権利がなくなるケース
配偶者が再婚した場合や、配偶者、子が親族以外の者の養子となった場合は権利がなくなります。
③配偶者が外国籍または行政手続きが苦手なケース
日本居住者と異なり、海外居住者の場合、配偶者(夫や妻)が外国籍で日本語を苦手とする場合もあるかと思います。そうすると手続きは困難となりますので、あらかじめ日本で手続きしてくれる代理人を見つけておくと良いでしょう。
※子のない30歳未満の妻の場合、受給は5年間のみ可。配偶者が夫の場合は55歳以上が対象に。また、配偶者がいない場合(死亡、離婚など)、遺族の対象は子(18歳未満)、父母(55歳以上)、孫(18歳未満)、祖父母(55歳以上)へと移る。
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