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日本での老後の住み替え計画〜今から考える日本への永住帰国

今から考える日本への永住帰国

現在はアメリカに住んでいるけれど、いつかは日本に戻りたい! そんなあなたに役立つ知識を、日本帰国支援のエキスパートが提供。

日本では高齢化が進み、人生100年時代とも言われます。平均寿命が延びるにつれ、高齢者施設や介護サービスは多様化し、老後の住み替え計画についてもいろいろな選択肢が考えられます。今回は日本で将来受ける介護サービスを念頭に置きながら、どのような住み替えパターンがあるのかを紹介します。日本に帰国せず、米国にとどまる方にも参考になると思います。

介護の必要性

老後とひと口に言っても、以下の3通りに分かれます。

❶ 健康に問題がなく自分自身で日常生活が送れる(自立期)

❷ 日常生活に一定の手助けが必要(要支援期)

❸ 人の手を借りないと日常生活に支障が出る(要介護期)

②の要支援期は、介護が必要なほどではなくても、たとえば足が悪くて階段を上るのに苦労する、用事や買い物の外出に付き添いを要する、といった状態を言います。具体的にはバリアフリーや共用食堂といった施設面、デイサービス、見守りサービスなどの支援が考えられます。その時期がいつになるかは、公的介護保険の利用状況が目安になります。

厚生労働省が発表した「令和2年度 介護給付費等実態統計の概況」で介護保険における年齢階層別の受給者数の割合を見ると、男性の場合85~89歳で約3割、90~94歳で約半数が、女性の場合85~89歳で約4割、90~94歳で約6割が介護保険の給付を受けています。よって、個人差はありますが、現時点では80歳代を要支援期と見て良いでしょう。

高齢者施設の種類

主な高齢者施設は次の通りです。それぞれ特徴がありますが、ここでは介護サービス、費用面だけを紹介します。

⃝特別養護老人ホーム 要介護期向け

在宅での生活が困難になった要介護の高齢者が入居できる公的な介護保険施設。「特養」とも呼ばれます。要介護3以上の介護認定を受けた高齢者が対象。民間運営の有料老人ホームなどと比べると費用が安いのが特徴です。入居希望者が多いので、施設によってはすぐに入居できない場合も。

⃝軽費老人ホーム(ケアハウス) 要支援期向け

特養のような公的施設ではなく、民間企業の運営でもない社会福祉法人などが運営する施設です。そのため、入居一時金が発生し、特養より費用はかさみますが、有料老人ホームほどかかりません。要支援期の高齢者に適しています。

⃝有料老人ホーム(住宅型) 自立期向け
⃝有料老人ホーム(介護型) 要支援期・要介護期向け

民間企業が運営する高齢者施設で、自立期に適した「住宅型」と要支援期、要介護期に適した「介護型」があります。入居一時金(数十万~数千万円)などがかかります。シニア向け分譲マンションのように所有権を購入するのではなく、終身利用権を取得する契約形態です。利用権の売却、相続はできません。

⃝サービス付き高齢者向け住宅 自立期・要支援期向け

主に自立期(介護認定なし)から軽度の要介護状態までの高齢者を受け入れる賃貸住宅で、「サ高住」とも言います。生活相談員が常駐し、入居者の安否確認やさまざまな生活支援を提供しています。民間企業のほか、公営住宅やUR都市機構が運営する「シルバーハウジング」があります。有料老人ホームに比べ費用がかからないので利用者が増えています。

⃝シニア向け分譲マンション 自立期・要支援期向け

温泉施設、運動施設、コンシェルジュなど高齢者に適した共用サービスが整う分譲マンションです。タイプとしてはサ高住に近いですが、介護サービスのある場合、その分費用はかかります。所有権を購入するので、介護施設入居の際に売却もできます。

老後の居住パターンは?

一般的に老後と言われる60歳代前半からの約30年間の居住パターンを考えてみます(A~F)。自立期までは自宅で暮らす場合が多いと思いますが、加齢による体の衰えと共に住み替えが必要になるでしょう。なお、ここでは費用を抑えるため施設に入居せず、自宅で介護業者を利用するケース(A~C)も含めました。ただし介護業者を毎日24時間利用することは現実的に難しく、家族の協力が必要になります。AからFの順に費用が増していきます。

蓑田 透
(株)ライフメイツ/ライフメイツ社会保険労務士事務所代表。米国を始めとする海外在住者の年金申請、相談サービスを多数手掛ける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士として日本への永住帰国時および帰国後の生活のサポートや、海外在住者向けに日本の老親の終活に関する支援を行う。 (株)ライフメイツ ☎213-327-8650(北米) ☎03-6411-8984(日本) www.life-mates.jp