今から考える日本への永住帰国
現在はアメリカに住んでいるけれど、いつかは日本に戻りたい! そんなあなたに役立つ知識を、日本帰国支援のエキスパートが提供。
今回はマイナンバーとマイナンバーカードについて説明していきます。取得手続きが異なるため、それぞれに分けて、最新動向と共に紹介します。
マイナンバーとは?
マイナンバーは個人に与えられる12桁の番号で「個人番号」とも呼ばれ、2015年に制度がスタートしました。社会保障、税、災害対策など、主に行政が関わる分野において横断的な番号制を導入することにより、分野間で個人情報の特定・確認が確実かつ迅速にできるようにし、行政の効率化、国民の利便性の向上を実現するものです。米国の社会保障番号(ソーシャル・セキュリティー・ナンバー)と同様のものとなります。
マイナンバーの対象者
マイナンバーが付与されるのは日本で住民登録をしている人(住民票のある人)になります。米国在住の日本人(日本国籍)は日本に住民票がないのでマイナンバーを持つことはありませんが、日本に住民票を残したままの人は付与されています。将来、日本に本帰国することになれば、住民登録をすることになりますから、その時点でマイナンバーが付与されます。日本人(グリーンカード保有者)だけでなく、米国籍取得者も同様に付与されます。
なお、米国居住者から「マイナンバーがなくても日本の年金は受給できますか?」という質問を時々受けますが、問題なく受給できます。
マイナンバーの取得手続き
手続きは至ってシンプルです。前述の通り、日本に帰国して市区町村役場で住民登録をすると、自動的にマイナンバーが付与されます。後日、自宅宛てに個人番号通知書(後述)が郵送され、そこに氏名、番号が記載されています。2015年以降に日本を出国(転出)し、すでにマイナンバーを付与されたことのある人は、以前と同じ番号になります。
マイナンバーカードの申請
住民登録すると後日郵送される個人番号通知書ですが、以前は米国のソーシャル・セキュリティー・カードと似たような紙の通知カードが送られていました。2020年5月に、現在の個人番号通知書という書面に変わりました。
以降は希望者のみ、申請手続きを経てマイナンバーカードが発行されます。これはプラスチック製のカードで、住所、氏名、生年月日、個人番号の記載に加え、顔写真やQRコードがあり、ICチップも内蔵されています。身分証明書としての使用ほか、税金の電子申告、住民票など各種証明書のコンビニエンスストアでの取得が可能で、手続きの効率化にもなります。
日本政府としては、このマイナンバーカード取得を国民全員に広げていきたい考えですが、普及率は全国で28.3%(総務省発表、2021年4月1日時点)と、あまり進んでいないようです。理由としては、制度が始まって間もないため、各種行政手続きの効率化などの体制が整っておらず、人々がマイナンバーカードを持つメリットを感じていないことが挙げられます。このようにマイナンバーカードの取得は任意なので、本帰国後、慌てて取得する必要はありません。
マイナンバーカードは健康保険証代わりにも
行政手続きの効率化に関して現在話題なのが、今年10月からマイナンバーカードが保険証として利用可能になったことです。日本の健康保険制度では、医療機関の利用には保険証を持参します。これがマイナンバーカードでも良くなり、さらに次のようなメリットがあります。
● 引っ越し、転職での保険証の切り替えが不要に
加入先の保険団体に変更があるたびに保険証の切り替えが必要なため、以前の保険証を返却して新しい保険証が届くまで、手元に保険証がない空白期間が発生します。その間の医療費は全額、本人が一時立て替えることになりますが、マイナンバーカードは切り替え手続きが不要で、空白期間もありません。
● 過去の受診記録を他の医療機関と共有
過去の医療機関の受診歴がデータとして記録されるので、初めての医療機関でも医師が正確な情報を把握できます。
● 医療費に関わる複雑な計算手続きが簡単に
税金の確定申告における医療費控除の計算や、高額療養費(保険適用後の自己負担が高額になる場合に、限度額を超えた分が払い戻される補助制度)の手続きがスムーズになります。
一方で、課題もあります。制度がスタートしたばかりで、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関がまだまだ少ないことです。
政府の予定では2023年3月までに、ほとんどの医療機関、薬局での利用を目指すとのことですので、保険証からマイナンバーカードへの切り替えも、少し様子を見てからで良いかもしれません。