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オレゴン州でスウェット・ロッジを体験〜あなたの幸せに近づくヒント

あなたの幸せに近づくヒント

手相、風水、占星術などをベースにライフコーチを行う植田詠子さんが、ハッピーに生きるための指針やメッセージ、スピリチュアルスポット情報などを毎月お届け。

オレゴン州でスウェット・ロッジを体験

光と闇の両方を持つ自分を認める

光があるところには、必ず陰も生まれます。光だけでは存在できない。誰もがその心の中に光と闇の両面を持っており、「光のほうが良い」ということではないのです。光も闇も、どちらも自分の中にある要素として大事にしていいのですが、幼少時に周囲の大人から「暗いのは良くない」と学習してしまったのが現代の日本人。それからずっと、自分の陰の部分を心の奥底に閉じ込め、陽の部分を前面に出してきたのだと思います。これまで、暗い人、ネガティブな人が苦手で避けてきたのは、自分の陰性を受け入れられなかったから、かもしれません。

オレゴン州の自然豊かな森の中に、ブライトンブッシュ・ホット・スプリングス(https://breitenbush.com)という天然温泉付きのリトリート施設があります。オーガニックの3食付きで、ヨガなどのクラスも無料で受けられます。さらに不定期で「スウェット・ロッジ」と呼ばれるイベントも開催されます(4月現在、森林火災のため閉鎖中)。

スウェット・ロッジとは、魂と体を癒し、浄化することで自分が生まれ変わるとされる、ネイティブ・アメリカンの聖なる儀式。毎年、母の日には女性限定で行われています。私は3回体験して、陰や闇の捉え方に変化が生じました。

儀式の前にまず、母なる地球の「子宮」に見立てたテントの上から分厚い毛布などをかけ、テント内に光が全く入らないようにします。そして、進行役のラコタ族が古から伝わるヒーリング曲を奏でる中、セージで身を清めた参加者がテント内に入り、地べたに座ります。テントの外からサポート役が、真っ赤に焼けた石を運び入れたら、出入り口もふさがれ完全密閉。暗闇の中で焼け石に水をかけると、熱い蒸気で空間が満たされます。やがてネイティブ・アメリカンの祈りで、約2時間の儀式が始まります。

満月のスウェット・ロッジで起こった出来事

満月の日と重なった、ある母の日の体験を紹介します。この日のスウェット・ロッジ参加者は女性35人。フルートと太鼓による魂に響く音楽が奏でられる中、テントに入る前から感極まってすすり泣く女性もいました。

進行役が歌い、祈り、精霊を招き入れ、儀式は始まります。そして、進行役が泣きながら話すのです。「姉が33歳という若さで交通事故により亡くなり、3人の子どもが残された。人生は時に不条理なことが起きる。私たちはどのように乗り越えていけばいいのか……」。彼の問いかけに続いて、参加者が順番に祈りを捧げます。自分自身や愛する人、家族のために。

母の日に母親を突然亡くした娘さん、レイプ被害に遭い、精神を病んでしまった10代の娘を持つお母さん。どの女性もむせび泣きながら、何かにすがるように祈っていました。完全な暗闇だから、お互いの姿は見えません。どこからか聞こえてくる声だけに集中するのみ。若い声のお母さんが、双子をいっぺんに亡くしたとしゃくりあげながら「どうか私が生きる道を示してください……」と、言葉を絞り出した時には、周囲の女性から嗚咽が漏れました。

闇の中で癒される時間

スウェット・ロッジでは、加害者などへの憎しみ、人生に対する愚痴、不満を口にする人が誰ひとりとしていませんでした。そんなことをしても意味がないし、する必要がないことを、みんながすでに知っているかのようでした。

暗闇で過ごすうちに、女性たちのむせび泣き、すすり泣き、嗚咽が、美しい子守唄のように聴こえてくるようになりました。熱い蒸気も気になりません。大量の汗と涙が混ざり合った液体がボタボタと音を立て、地面に流れ落ちていきます。女性の語りに耳を傾けながら、同情というような軽いものではなく、参加者全員の魂が深いところでつながって共鳴し合い、私自身の魂も揺さぶられ、癒されていく感覚。ものすごく安らぎを感じたのを覚えています。

テントの扉が開かれ、暗闇と熱風から解放された時、「やったー!」とテントから飛び出すような人はおらず、むしろぼうぜんとしたまま、テントの周りで座り込んでいる人ばかり。涼しい。気持ちいい。生き返った。太陽がまぶしい。やっと光に出てきた。でも、どこに行っていいのか、わからない人もいる……。後ろ髪を引かれる思いがして、一度だけそのテントを振り返った時、すとんと腑に落ちたことがあります。

「暗闇って全然怖いものではない。それどころか、じっとして動かなくていいし、楽で心地の良いもの。光もいいけれど、闇も優しくて落ち着く場所なのだ」

人類は闇ではなく、光を恐れてきたのかもしれない。ふとそんな気持ちがしました。

植田 詠子
マッサージ・セラピスト/整体師。水瓶座、B型。趣味は世界中のパワースポットめぐり。タイ政府公認タイ古式マッサージおよびチネイザン(気内臓療法)資格取得、CAエサレン研究所にてエネルギー・ヒーリング・コース修了。独自のスタイルを編み出し、2006年からベルビューのサロンにて身体と心と魂のホリスティックなセラピーを行う傍ら、占いも1時間80ドルで提供。予約は電話またはメールにて。 ☎206-276-2359 eikoueda@hotmail.com www.eikoueda.com