【傍題】彼岸花、死人花(しびとばな)、天蓋花(てんがいばな)、幽霊花、捨子花(すてごばな)
ヒガンバナ科の多年草で、彼岸頃、地下の鱗茎(りんけい)から30〜50センチの花茎を伸ばし、赤い炎のような花をいくつも輪状に開く。花後、細い葉が出て、翌年春に枯れる。鱗茎は澱粉を多量に含み、有毒だが晒して救荒(きゅうこう)植物とするため、畑の傍らや墓地など人里に近い所に植えられた。では例句をみてみよう。
秋の彼岸頃になると、空が澄んで田の畦、墓地、線路の傍らなどに曼珠沙華が咲く。それも突然降って湧いたように咲く。真青な秋の空と鮮やかな赤い花の対比が目に浮かぶ。曼珠沙華はその異名のように、暗い印象の句が多いが、この句はどこかおとぎ話のようで、ほっとする句である。
及川貞(おいかわ てい、1899年〜1993年)
東京都出身の女流俳人。
(参照:合本俳句歳時記、草間時彦—俳句十二か月、ウィキペディア)
レニア吟社幹事 ひさを