相談でよく受けるのが人間関係について。その中でも会社組織の中の人間関係は、上司には文句が言えない、部下には気を遣うという悩みの方が多いよう
です。
ある男性から会社の上司について相談を受けました。その人の上司は自分の過去の体験ばかりを重視して指示を出し、部下の意見を聞こうとしないため、 周囲の士気が下がってしまっているというのです。
それを聞いて私は「その人、寂しいんだ」と答えました。彼は、「寂しい? あの怒りんぼが?」と怪訝な顔をしています。
孤独を抱えている人は、とかく他人を支配しようとするものなのです。寂しいから相手をコントロールしようとする。しかし、コントロールは相手の成長 を妨げることになり、結果的には自分が依存されて困ることになります。
「まず上司を理解することから始めてみては? 『怒りんぼで支配的な上司』と思って見ているめがねを外して、上司には部下に分からない責任や重圧が あることや、上司も人間なのだから、家庭の問題を抱えているかもしれない。『上司だからこうあるべき』と、こっちも思い込んでいるかもしれないと考えてみては?」
子育てでもそうですが、「子どもはこうあるべき」「親はこうあるべき」という「べき」を取り除くと、お互いに楽になれるものです。一人ひとり違うの だから、相手を理解してあげることで人の心を溶かすこともできるはずです。
「あなたが上司に本音でぶつかって理解してあげたら、きっとその人は変わるはずよ。自分が変わることで自然と周囲も変わるものだからね」
人間の感情は出来事として表れることは以前お伝えしましたが、例えば愛犬の鳴き声が今日はやたら勘に障るとします。それは自分の感情がスッキリして いるかどうかのバロメーターなのです。自分のその時の感情の状態を教えてくれるありがたい出来事なのです。上司のことも同じです。だからまず、自分 の感情をクリーンにすることが大切なのです。「もしかしたら、あなたの中に怒りがあるのかもしれない。感情は運動や呼吸法でも発散できるのでやって みたらどう?」とすすめました。自分が変われば、魔法がかかったように、接する人にもそれが表れるのです。
しばらくして彼が「上司が変わった!」と報告してくれましたが、実は違うんです。彼が努力したのです。「あなたが変わったからですよ」と伝えました。人を理解することを通して自分が向上する、人間関係って素敵な学びなんですね。
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