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夏の総領事公邸レセプション〜行ってきました

夏の総領事公邸レセプション

7月12日、領事公邸にてシアトル在住の研究者やIT関連企業で活躍する日本人が集う交流会が開催されました。当日は、シアトルITジャパニーズ・プロフェッショナルズ(SIJP)、シアトル日本人研究者の会に加え、ワシントン州日米協会(JASSW)、シアトル商工会(JBAS)などから80名以上が参加しました。日系コミュニティに関わりの深い4つの団体をご紹介します。

取材・文中島雅紘

主催者である伊従いより まこと 総領事の挨拶で幕を開けたこのイベントでは、各団体の代表によるスピーチが続き、乾杯の合図とともに交流会がスタート。2時間という限られた時間の中、参加者同士の活発な交流が繰り広げられ、新たな縁をつなぐ密度の濃い時間となった。

© Devin MichaelisCGJ SEA

当日訪れた人の中には、着物でイベントを楽しんだ人も

シアトルITジャパニーズ・プロフェッショナルズ(SIJP)

シアトル地域に在住する日本人ITプロフェッショナルのための団体「SIJP」は、メンバー同士の交流や情報交換、IT技術による社会貢献を目的としている。代表でグーグルのソフトウェア・テストエンジニアの今崎憲児氏のもと、約60名の会員が所属し、月に一度の外部向け講演会や隔週の内部交流会、さらに、9歳から15歳くらいまでの小・中学生を対象に、コンピュータサイエンス講座(CS in English)を2カ月に一度行い、プログラミングやAIなどを英語で学ぶ機会を提供している。

今崎氏によるとSIJPの活動を通じて得られるものは3つあるという。まず、新しい出会いによってネットワークが広がり人生が豊かになること。次に、コミュニティーの力を借りて、個人では達成できないことを実現できること。最後に、自分のスキルや興味を活かして他者に貢献できることだ。実際に、熊本地震後のチャリティーコンサートでは1万ドル以上の募金を集めたほか、福岡でのプロジェクトでは旧友との再会が実現したという。また、学生時代の英会話学校の先生の励ましが、自身の成長に大きな影響を与えたとも語っている。これらの経験が、今崎氏がSIJPの代表として活動する原動力となっているそうだ。SIJPでは会員を募集している。詳しくは公式ウェブサイト(https://sijp.org)をご覧いただきたい。

シアトル日本人研究者の会

同会は、シアトル日本人研究者メーリングリストを基に発足した。コロナ禍やフリー・エムエルのサービス終了により一時は交流が途絶えかけたが、当時ワシントン大学で博士研究員であった浜崎伸彦氏を中心に有志4人でFacebookグループを立ち上げ、2020年に再結成。現在、「過去・現在・未来のシアトルにおける研究者の相互扶助」を掲げ、約140名の研究者やそのパートナー、研究者の卵から構成されている。Facebookグループ内では、研究の話題にとどまらず、部屋探しや子育てに関する相談、イベント情報の交換なども行われている。約2カ月に一度は対面での研究発表会と懇親会を開き、年に一度は領事館のご厚意により、領事館内で発表会と交流会を開催している。近年では、ほかの団体からシアトル日本人研究者の会メンバーに講演依頼が来ることも増えており、会への期待と関心が高まっている。

ワシントン州日米協会(JASSW)

アメリカに全38支部ある組織、日米協会の1つワシントン州日米協会は、1923年に日米間の貿易やビジネス、交流を促進する目的で創立され今年で101年目を迎える。ワシントン州の日米企業や個人の会員を抱え、定期的な勉強会や交流会を通じてアイデアと情報の共有を図り、日本とワシントン州に住む人々の相互理解と友好関係の強化を理念としている。JASSWは、当初はボランティアによって運営されていたが、現在は社員や理事会のメンバー、そしてビジネス、政府、教育、芸術などさまざまな分野で活躍する専門家たちによって支えられている。活動内容は、教育プログラム、文化・社会イベント、ビジネス・プロフェッショナル開発、ボランティア・インターンシップの機会の提供の4つに重点を置いている。

スターバックスのインターナショナルファイナンスのディレクターで、JASSWの代表でもある片山雅美氏は、JASSWの概要に加え、現在ワシントン州に在住の約1.8万人の日本人がより深く結びつき、その力を発揮できるようにさまざまな企画に力を入れていると語った。

シアトル日本商工会(春秋会)

1922年に結成された「木曜会」と1952年に発足した「火曜会」を前身とするシアトル日本商工会(春秋会)は、地域社会との交流を通じ相互の理解を深め、経済関係の促進を図るなど、会員共通の課題解決と全体の向上発展を企図することを理念に掲げている。シアトル地域の日本企業やその駐在員、そのほか地元企業のための親睦団体として、会員同士の交流と地域社会への貢献を目指し、交流部会と経済文化部会に分かれて活動している。

具体的には、日本文化を紹介するイベントへの積極的な参加や協賛、経済セミナーやビジネス交流イベント、スポーツ大会や文化活動を通じた会員間の交流促進など、地域社会との親睦や交流を深める取り組みを行っている。

当日は、シアトル日本商工会(春秋会)会長で日本航空株式会社米州地区支配人室シアトル支店長の弥勒みろく まなぶ 氏が登壇し、「商工会では若手と触れ合う機会が少ないため、このような場はつながりを築く上で非常に重要である」と述べ、乾杯の音頭を取った。

当日、会場で提供された食事はどれも絶品で、なかでも寿司が人気を集めた。普段接点のない人同士が興味津々で話を交わし、紹介したい人の話で盛り上がる場面も多く見られた。その場でビジネス交渉に発展したケースや、以前から知っていたが実際に会ったことがなかった人と会えたという話もいくつかあった。伊従総領事の挨拶や各団体の代表者によるスピーチを通じて、シアトルにおける日本人コミュニティーの重要性とその発展のための努力を改めて認識させられ、日本人同士のつながりの大切さを再確認した人も多かったのではないだろうか。

このようなイベントが定期的に開催されることで、シアトルの日本人コミュニティーはさらに強固になり、個々の成長や地域社会への貢献が期待される。今回はその第一歩として非常に意義深いものだった。今後のさらなる発展が楽しみだ。

▪️Seattle IT Japanese Professionals(SIJPhttps://sijp.org
▪️シアトル日本人研究者の会 www.kenkyuu.net/seattle-j-ml.html
▪️Japan-America Society of the State of Washington(JASSW)
https://jassw.org
▪️Japan Business Association of Seattle(Shunju Club)www.jbaseattle.org