フェアモント・オリンピック・ホテルでのきらびやかな夜
シアトルに住み始めて1年半。普段はどちらかと言うと都会とは無縁の自然に親しむ日々だが、珍しく華やかなパーティーに参加する機会を得た。フェアモント・オリンピック・ホテルの広報担当者から、「こんなイベントがあるので良かったら来ませんか?」と声をかけてもらったのだ。日本ではPRの仕事をしており、フォーマルなパーティーに参加することもあったが、異国の地では初体験。
「ティー・ノワール」というアフタヌーン・ティーのイベントだそうで、ドレス・コード「dress to impress glam」を受け、ノワール(黒)のドレスにシャネルの靴とピアスでそれっぽい感じに仕上げて、夜のダウンタウンへと繰り出した。
ホテルへ到着すると、受付で早速「アメリカあるある」なシチュエーションが。ゲスト・リストに名前がないのである。これはシアトルで取材をしているとたびたび起きることで、こちらも慣れたもの。メールのやり取りを見せ、確認してもらう間、受付近くの特設ストアを見て回る。
会場内は、妖艶な紫やブルーのライトアップとフラワー・アレンジメントで、ゴージャスな披露宴さながらの雰囲気。案内された席に着くと早速、隣に座るイタリア系男性、シアトル出身女性の夫婦に話しかけられる。現在はカナダとシアトルを行き来する生活を送っているのだとか。なんともお金持ちらしい身の上話を聞いていると、乾杯用のシャンパンが運ばれてきて、30分遅れで会がスタートした。
ホテルの料理部門ディレクターを務めるエラジ・ジャヤウィックレーム氏による、ホテル・オリジナル高級紅茶「LOT 35」を使った8品のコース料理とカクテルのペアリング。アフタヌーン・ティーの定番、スコーンに始まり、ワシントン州カキにエジプト産カモミールを添えたもの、紅茶でスモークした鴨胸肉などがサーブされた。
ちなみに、日本人としてどうしても解せなかったのが、3品目の「オチャヅケ」である。白米にカニやエビ、イクラなどの海鮮がトッピングされ、煎茶を注ぐというものなのだが、ひと口食べてスプーンを置いてしまうほど、ガッカリする味だった。日本のお茶漬けが恋しい……。
食事以外にも、オリンピック・シアター・バレエ団によるコンテンポラリー・バレエのステージや、フォトグラファーが撮影するフォト・ブース、茶葉占いなんかもあり、久々にキラキラした時間を過ごせた。数十万人のフォロワーを持つインフルエンサーたちも大勢招待されており、シアトルでこの日いちばんのにぎやかな空間だったに違いない。