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子どもから大人まで夢中で鑑賞!ミュージカル「ピーター·パン」 シアトル公演

子どもから大人まで夢中で鑑賞!ミュージカル「ピーター·パン」
シアトル公演

取材・文:フォーリー由香

あらゆる年齢層を魅了してきた大ヒットミュージカル「ピーター·パン」が8月21日から25日までパラマウント·シアターにて上演されました。

「ピーター·パン」といえば、多くの人が幼い頃から絵本や映画を通じて親しんだ物語だろう。筆者もその一人。幻想的で想像力をかき立てられる世界観に引き込まれ、大きな絵本を繰り返し読んだ記憶がある。1904年の初演以来、世界中で愛され続けている舞台が、今回は現代版にリニューアルされたと聞き、8月21日のオープニングナイトに劇場へと向かった。

序盤から期待を大きく上回る公演だった。まずティンカー·ベルの演出だ。小さなまばゆい光が、独特な効果音と動きで空中を舞う姿は本物の妖精のように見えた。特に、ピーターとウェンディの間を行き交う場面では、役者たちの動きと見事に合致していた。また、ピーターがダーリング家に忍び込み、自分の影を取り戻そうとする場面も非常に印象深かった。プロジェクターで映し出された影に、ピーター役の演者が動きを合わせることで本物のように、演者と違う動きをすることで影が自らの意思で動いているかのように見せていた。ピーターとダーリン家の子どもたち、ウェンディとジョン、マイケルが窓の外へ飛び出しネバーランドに向かう場面では、背景のプロジェクション·マッピングの効果で、観客も4人と一緒に空を飛んでいるかのような感覚を味わえた。舞台と観客がインタラクティブに関わる場面が再びあり、特に子どもたちが楽しんでいた。最新技術を駆使した演出に終始引き込まれたが、ワニだけは「被り物をかぶり、緑色の衣装を着た演者が舞台上をはう」という対照的なアナログ演出に会場からは笑いが起こった。

Ⓒ MATTHEW MURPHYMURPHYMADE

女性が演じることが多いピーター·パン役は男性。7歳のころから舞台で活躍するノーラン·アルメイダさん。空中で左右に大きく軽やかに揺れる。飛び方を教える場面

演者たちの演技も素晴らしかった。17歳でピーター役を堂々と演じたノーラン·アルメイダさんは、「大人になりたくない」ピーターの純粋無む く垢でやや自己中心的な性格を、声の抑揚や表情、所作を通して見事に表現していた。また、台詞も登場回数も多いダーリング家の末っ子のマイケル役を演じたカムデン·クオックさんは8歳にもかかわらず、大人顔負けで安定感のある演技を披露した。

Ⓒ MATTHEW MURPHY MURPHYMADE

悪役なのにおっちょこちょいで愛嬌とカリスマ性たっぷりのフック船長兼、ダーリング家の父親役を演じたコディ·ガルシアさんも注目を集めた

最後は、演者たちの一礼と同時に、フェアリーダストに見立てた銀色の紙吹雪が観客席に舞い降りた。その驚きと感動に浸っていると、フック船長とピーターが再び登場し、おまけの戦闘シーンを披露。その足元をワニが横切るというユーモラスな演出で笑いに包まれながら幕が閉じた。