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骨折りのルーム探し

忘れ物センターで起きた心温まるお話

私がシアトルに来る前に友人や家族に口を揃えて言われた言葉が「スリにはくれぐれも気を付けて! 特に財布。日本みたいにのほほんとしていたら、すぐに盗まれるよ!」この言葉が本当かどうかは分からないが、確かに私のクラスメートの中には、携帯を盗まれただの、財布がなくなっただの騒いでいる人が数人いた。
そのうえ、ルームメイトがバイクを壊されたと嘆いていたこともあってシアトルに対してあまりいい印象がなく、「シアトル市内で物を落としたら絶対に戻って来ない」、そんな思いが私の中に植え付けられていった。
ある日、オルカカードをどこかで落としてしまった。ポケットに直接つっこんでいた自分の不注意のせいだ。慌てて、とりあえずダウンタウンにあるバスの忘れ物センターを訪れた。受付の人に事情を話して確認してもらっている間、正直私は諦めていた。カードには 1 カ月分のシアトル市内乗り放題の定期+ $30 が入っている。こんなの拾ったら、誰だって欲しくなっちゃうでしょ、とあきらめていた。
受付の人が戻ってきた。残念そうに首を振る。やっぱり届いていなかったか、まあ最初から期待なんてしてなかったし。そう思って、帰ろうとした時、少し不良そうな若い男性が息を切らして部屋に入ってきた。「はいこれ!昨日乗ったバスの椅子の下に落ちてたから届けに来た。急いでいるから、じゃあね!」といって受付の人に投げるように何かを渡し、風のように去って行った。
それは私のオルカカードだった。時間がないのに、わざわざオフィスまで届けに来てくれたお兄さん。そのカードは今、私の首にぶら下がったカードケースにきちんと収まっている。
(バス通学/シアトル)

ミニーマウスと納豆

最近私の枕元に、ミニーマウスのぬいぐるみがいる。ちなみに私は2人の子持ちの母だ。
ある日の夕方、6 歳の娘がお腹が空いたと言うので、納豆のパックを渡した。娘はふたを開け、タレをかき混ぜ、さあ食べようと一口入れたが、昼に冷凍庫から出した納豆はまだ冷たすぎたらしい。パックを陶器に移し替え、電子レンジで温めようとしたが、夕飯の支度に急いでいた私はいつもより荒っぽくなって、手から器を落としてしまった。器は割れ、もちろん中の納豆も台無しに。ショックのあまり「私のバカバカぁぁぁ。ごめんね、折角準備したのに。お母さんほんと馬鹿だった。どうしてもっと丁寧にやらなかったんだろう」と、自分を嘆いていたら、涙目だった娘がその場を立ち去り、しばらくすると自分のミニーマウスのぬいぐるみを持って戻ってきた。「お母さん、ミニーちゃんいるから大丈夫だよ。悲しくならないように、お母さんの枕の横に置いてきてあげる」
どっちが親だか分からない娘の一言に感謝。今でもミニーマウスは私の枕元に座っている。
(ネズミ娘/カークランド)

ワシントン D.C. 旅行

生まれて初めてワシントン D. C. を訪れる機会に恵まれました。ホワイトハウス、国会議事堂、スミソニアン博物館を含め数々のミュージアム、リンカーン記念館、ワシントン記念塔、官公庁、キング牧師や戦争の記念碑……と、訪れ
るべき場所の多さに行く前は戦々恐々としていましたが、実際訪れてみるとみんなほとんど歩いて回れる距離にあり、おまけに綿密な設計で美しく創られた街並みは歩き回ることが喜びになる、そんな街でした。
街中に並ぶ様々な建築様式の建物群は圧巻。学生時代習った「ドーリア・イオニア・コリント」各様式の巨大な円柱が目の前に聳え立ち、遠くまで規律よく美しく並んでいる様を見ていると、古代ギリシア人になったような気分。ランドスケープも素晴らしく、緑地と白を基調とした建物の調和を目にしながら芝生の合間を縫う小径を歩くと、街全体が公園でもあり美術館でもある、という印象を受けます。その一方でリンカーン記念館の階段の一番上に立てば、ここでキング牧師が何万人もの人を前に「I have a dream」の演説をしたんだなぁと感慨深く、ホワイトハウスや戦争記念碑などと併せ、歴史や政治の舞台という面も実感しました。
幾つもあるミュージアムの中で、今回訪れることが出来たのはナショナル・ギャラリー・オブ・アート。館内図ではそれほど大きくは思えなかったので、最初のうちじっくり見ていたら、お昼の時点で五分の一しか見終わっておらず、ルネサンス期以降は駆け足気味に。しかし、さすが世界第一級のコレクションを誇るだけあって、芸術に詳しくない私でさえ、「おぉ!」と驚く有名な作品が続々登場。教科書で見たことがある数々の作品を、間近に見ることができました。
難点は、全米ワースト2と言われる渋滞のひどさと、しょっちゅうパトカーや救急車のサイレンが聞こえて騒々しかったこと。美しい風景で有名なリフレクションプールやナショナルモールが工事中だったのも、残念でした。
インドア・アウトドア共に、色々な思いを掻き立てられながら歩く、歩く。4 日間歩き通しのワシントン D.C.、いい思い出になりました。
(こわちゃん/カークランド)

骨折りのルーム探し

日本とアメリカの大きな文化の違いの1つのシェアハウス。日本では、都市部において近年少しずつ普及しつつあるが、まだまだ知らない人も多い。アメリカでは、学生はもちろん、若い社会人を中心にとてもポピュラーで、学校内のカフェテリア、フリーペーパー、オンライン等でルームメイトを求める数多くの広告を目にする。
私がシアトルに来たのは約半年前。あるプログラムの一環で、最初の滞在スタイルはホームステイと決まっていた。しかし開始 2カ月後に諸事情で家を出なければならなくなり、人生初めての家探しが始まった。まず最初に見たのは、オンラインサイト Cr a i g l i s t と学校の掲示板の張り紙。その広告の数の多いこと、多いこと。私の条件は家賃と学校までの距離。条件に従って探した結果、約 10 件が候補に残った。その中で、一番安い家(破格の$ 450/ mo n t h ) を選んで見学。バスルームは改装中のため見せられないと言われ、部屋とキッチンだけ見せてもらった。部屋は狭いが悪くはなく、キッチンもいたって普通。家賃の安さの後押しもあり、ほぼ即決した。その時には初めてのルームシェアに少し心が踊っていた。
しかし、入居1日目、初めてバスルームに足を踏み入れると、そこは外よりも汚いのではないかというほど凄まじい状態。床には大量の髪の毛と、得体のしれない液体が広がっている。鏡は灰色の画用紙化していて、シャワーはちょろちょろ、冷水しか出ない。上を見上げれば、大量の蜘蛛の巣。
私は悲鳴をあげそうになった。こんなの家じゃない! こんなお風呂に入っても、私がきれいになっているのか、私がお風呂をきれいしにしているのか分からない。普通レベルの部屋とキッチンが、天国のように見えた。一番驚いたのは、もう一人のルームメイトが「この汚さが好き!」と驚きの発言をして、さらさら直す気がないという点。しかも注意すればするほどその惨状はエスカレート……。
1カ月後に新しい家に逃げるように引っ越した。リース違反なので、デポジットの$ 300はもちろん戻って来ず。
みなさん、このようにならないために、引っ越しの際は、隅から隅まで確認してくださいね。特に水回りは気持ちよく生活するうえでとても重要。部屋の大きさや値段だけにとらわれてはダメです ( 泣 )。ちなみに2回目の私の引っ越しは大成功。申し分ない素晴らしい家とルームメイトに出会えました。
(nanaccoro /シアトル )