日米バイリンガル向け最大の就活イベントであるボストン・キャリア・フォーラム(以下ボスキャリ)が、2018年11月9日から11日までの3日間の日程で開催された。ボスキャリ会場となったのは、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学からも近い、ハインズ・コンベンション・センターである。2018年で32回目を数えたボスキャリには230の企業が参加した。
筆者がボスキャリに向けて動き出したのは、ボスキャリ開催の8カ月ほど前、4月下旬である。ボスキャリの会場が確定した段階で、まず宿泊先のホテルを押さえた。日米バイリンガル8,000人以上がボストンに一挙集結するため、会場から近い宿泊先はすぐに埋まってしまう可能性が高い。会場まで徒歩10分で行くことのできるホテルの部屋を予約し、同じカレッジに通う日本人学生4人でシェアするようにした。その日程だが、ボスキャリ開催前日の朝には、ボストンに到着しているようにしたほうが良いだろう。なぜなら、企業によっては開催前日から選考を行っていることがあるためだ。筆者はボスキャリ前々日の夜に到着し、ホテルには計4泊する日程を組んでいた。ちなみに、航空券の予約はそれほど急ぐ必要はない。シアトルからボストンへ向かうのであれば、2、3カ月前を目安に購入すれば問題はなさそうだ。
そして、ボスキャリに向けて本格的に動き出したのは開催まで2カ月を切った9月中旬ごろ。ボスキャリではまず、共通レジュメをオンライン上で登録する必要がある。この共通レジュメのクオリティーをどれだけ高められるかは非常に重要だと感じた。多くの企業は、この共通レジュメで書類選考を行うからだ。企業によっては専用のエントリーシートの提出を求められる場合もあるが、共通レジュメが土台としてしっかり書き上がっていれば、それほど苦労せずに書くことができる。
10月に入ってからは怒涛のオンライン面接が続いた。スカイプを始めとするビデオ通話システムが利用され、企業によって、10分程度の短い面接から、1時間半にもわたる長い面接まであった。多くの場合、このような事前面接が行われる。当日はウォークイン自体を行わない企業もあるため、しっかり確認しておく必要がある。事前面接やウェブでのテストを通過していくと、ボスキャリ当日の面接を予約することができるのだ。
筆者はボスキャリ前日に3つの面接を受けた。会場はホテルの会議室やレンタルルームが利用され、事前に企業から場所と時間の指定があった。対面での面接はこの日が初めてだったため、緊張もあり、かなりの疲労感を覚えた。ただ、ボスキャリ初日に予定していた第1志望の面接を前に、複数の面接を経験できたことは大きかったと感じる。
ボスキャリ当日は午前9時からスタートだったので、少し時間に余裕を持ち、15分前には会場に着くようにした。開場後は、それぞれの企業のブースで説明会やウォークインの受け付けが行われていた。筆者はウォークインでのエントリーはしていないが、もし検討する場合は必要書類があるため、事前に確認し、準備をしておかなければならない。
午前9時半から第1志望企業の面接を受けた。その後、筆記試験を受け、その場で最終面接の日程を組んだ。他企業の面接と重なってしまったため、会場内の企業のブースに直接、キャンセルの連絡をしに行った。選考は1日の間にどんどん進んでいくため、企業の志望度ははっきりと順位付けしておくと、当日迷わずに済む。最終面接後、その場で内定をもらうことができ、後に予定していた他企業との面接は全てキャンセルした。ボスキャリでは「ディナー」と呼ばれる選考を兼ねた懇親会を行う企業も多い。筆者にとっては内定後のディナーだったため、リラックスして食事を楽しめたが、周りには最終面接を控えている学生もいた。
ボスキャリは数日間で、複数企業の選考を受けることができ、企業によっては内定、内々定をもらえることも多い。ただ、ボジションとしては日本での勤務が基本。アメリカでの就職を考えている学生には、USキャリア・フォーラムという別のイベントがあるので、チェックしてみて欲しい。2019年のボスキャリ参加を考えている学生には、早い段階から準備を始めることをおすすめする。
栗原澄也■明治大学商学部を休学し、現在はシアトル・セントラル・カレッジに1年間の留学中。この夏にバックパッカーひとり旅のため中米を訪問して以来、世界を旅する旅人に憧れている。スペインのサッカーを見るためにスペイン旅行を決意するほど、サッカーをこよなく愛し、シアトルでもサッカーを通して交友関係を広げている。