サッカー女子W杯目前!
注目チームと選手をプレビュー
昨年のサッカー男子W杯カタール大会も記憶に新しい中、いよいよサッカー女子W杯が開幕。1991年から始まり9度目を迎える今年の大会は、オーストラリアとニュージーランドでの共催で、7月20日(木)から8月20日(日)まで行われます。日本代表「なでしこジャパン」の熱戦をお見逃しなく!
取材・文:ジェジュン・ジョン
※コメント内容は全て個人的見解であり、所属組織等を代表するものではありません。
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グループごとの展望
まずグループごとに4チームが総当たりし、上位 2チームのみが決勝トーナメントに進みます。今大会の出場国一覧とグループ分けは以下の通り。
主力が磐石のノルウェー、
ニュージーランドは開催国ブーストなるか
ノルウェーの圧勝と目されているグループA。スペインの名門、バルセロナで主力として活躍するキャロライン・ハンセン選手と、イングランドの巨頭、チェルシーで今年素晴らしい成績を残したグロ・ライテン選手は、どちらも28歳とキャリアの全盛期だ。このふたりが牽引する攻撃の破壊力は計り知れない。共催国のニュージーランドは、過去4大会連続でグループ最下位。ホームの強みで、グループリーグ突破を狙う。35歳のベテランディフェンダー、アリ・ライリー選手はアメリカ国内リーグのエンジェル・シティ所属で、これまでイングランド、ドイツの名門クラブを渡り歩いてきた。後方からのリーダーシップに期待したい。
強豪の仲間入りをしたいオーストラリア、
ダークホースはカナダ
オーストラリアが好調だ。昨年10月から9戦8勝、今年4月には今大会優勝候補のイングランドを相手に2対0で完勝した。前回2019年フランス大会で5ゴールを挙げたチェルシー所属の29歳エース、サム・ケー選手を始め、前線にタレントぞろい。まずはグループリーグで確実に勝利を重ねたい。2021年の東京五輪で初優勝を果たしたカナダは、W杯の過去最高成績が2003年アメリカ大会の4位。チェルシーで主力として活躍する25歳、ジェシー・フレミング選手が攻守の要だ。シアトルを本拠とするOLレインからは、22歳のジョーディン・フイテマ選手がメンバー入り。
勢力図を塗り替えたいスペイン、
日本は過去の栄光に近付けるか
本戦出場3度目のスペインは、前回大会のベスト16が過去最高成績。バルセロナ所属の29歳スター、アレクシア・プテヤス選手がけがから復帰し、スペイン国内の強豪クラブ、レアル・マドリードに所属する22歳のアセネア・カスティーヨ選手など楽しみな若手も多数選出する今大会は、歯車がかみ合えば優勝も夢ではない。
2011年ドイツ大会で優勝、2015年カナダ大会で準優勝と、女子サッカーの一時代を築いた日本。しかし、前回2019年フランス大会ではまさかのグループリーグ敗退を喫した。イングランドでプレーする24歳の長野風花選手と26歳の長谷川唯選手のミッドフィルダーコンビが試合をコントロールすることで、どうにか勝ち抜けたい。
優勝候補のイングランド、
16年ぶり本戦帰還のデンマーク
今年4月まで1年半もの間、30戦無敗という圧倒的な戦績を残してきたイングランド。悲願の初優勝も射程圏内に入る。主力にけがが続出する不運もあったが、本戦に向けて仕切り直したい。国内トップクラブで活躍する29歳のミリー・ブライト選手や、31歳のレイチェル・デイリー選手など経験豊富な面々が心強い。
4大会ぶりに本戦出場を決めたデンマークは、着々と力を付けてきている。今年に入って、ノルウェー、スウェーデン、日本を下しており、中国・ハイチとのグループ2位争いでは優位に立つ。ドイツ王者バイエルン・ミュンヘンに所属する30歳エース、パーニール・ハーダー選手は大活躍の可能性を秘める。
3連覇を目指すアメリカ、
前回準優勝のオランダはリベンジ誓う
前回大会のトップ2が同じグループEにそろい踏み。2連覇中のアメリカは押しも押されぬ優勝候補だ。シアトルのOLレインからは説明不要の大スター、37歳のミーガン・ラピノー選手を筆頭に、28歳のローズ・ラベル選手、29歳のエミリー・ソネット選手、26歳のアラナ・クック選手、30歳のソフィア・フエルタ選手の5選手がメンバー入りを果たした。
前回は惜しくもアメリカに敗れ、準優勝に終わったオランダは、若手の躍進がカギに。オランダの名門、アヤックスに所属する22歳のロミー・リューチャー選手やイングランドでプレーする24歳、ヴィクトリア・ペロバ選手などの新世代が主力を担う。
決勝の舞台に返り咲きたいブラジル、
過去最高成績に挑むフランス
サッカー大国のブラジルだが、意外にもW杯優勝はない。2007年中国大会で決勝に進出するも、ドイツに敗れている。南米大会では過去9大会中8大会で優勝と無類の強さを誇り、37歳のスーパースター、マルタ・ダ・シルバ選手率いる攻撃陣が覚醒すれば、2度目の決勝進出も見えてくるだろう。昨年に監督を交代したばかりのフランスは、これまでの若手偏重路線と打って変わり、33歳のアマンディン・ヘンリー選手や34歳のユージェニー・レ・ソマー選手など経験豊富なベテランも入るバランスの良さ。
昨年11月からはノルウェー、デンマーク、カナダなどを相手に6戦無敗の好調ぶりで本選に臨む。過去最高成績の4位を上回るか。
ベテランが引っ張るスウェーデン、
男子W杯優勝に続きたいアルゼンチン
過去8大会中、4度も3位以上の好成績を残すスウェーデン。今年こそ優勝と意気込むが、主力の高齢化はやや不安要素か。長年、代表で活躍してきたキャプテンのキャロライン・セガー選手は38歳、副キャプテンのコソベア・アスラニ選手は33歳と、キャリアの終盤に差し掛かっている。ベテラン勢の意地を見せたい。
男子W杯で見事に優勝を遂げたアルゼンチン。女子代表は南米でブラジル、コロンビアに次ぐ3番手の立ち位置にある。まずは、いまだに達成できずにいるW杯グループリーグ突破が目標だ。前大会ベスト8のイタリア相手に壮絶な2位争いが繰り広げられること必至。全敗で終えた前回に続き、2度目のW杯出場となる南アフリカは初勝利をつかみに行く。
虎視眈々と3度目の優勝を狙うドイツ、
南米2番手のコロンビア
2度の優勝経験を誇るドイツ。過去8大会で毎回、準々決勝以上に駒を進めている安定感は健在だ。32歳のエースストライカー、アレクサンドラ・ポップ選手に加えて、25歳のレア・シュールレ選手などが主力を固める。世代交代が成功しているドイツの快進撃は十分にありそう。
南米では、ブラジルに次ぐ2番手となるのが、近年のコロンビア。前線にはレバンテ所属の24歳、マイラ・ラミレス選手などスペインのトップクラブでプレーする選手が半数以上を占める。欧州勢を知り尽くした選手たちの頑張りで、強豪相手に撃破できるか。過去最高成績は2015年カナダ大会のベスト16だが、その壁を越えていきたい。