おはようございます!北米報知社マネジャーの室橋です。
先週末、4月20日(金)から22日(日)にかけて、シアトル・センターで第43回シアトル桜祭(Seattle Cherry Blossom & Japanese Cultural Festival)が開催されました。ソイソースの姉妹紙「The North American Post」も、イベントの公式ペーパーとして会場内で配布されました! シアトル桜祭は、1976年に三木武夫元総理大臣が日米友好の為にシアトルへ1000本の桜の木を寄贈したことに始まったイベントで、シアトルの外国カルチャーイベントの中で最長の歴史を持ちます。
さて、桜祭開催の前日、4月19日のシアトル・タイムズに、目を引くOp-Edが!!
Op-Edとは、「opposite the editorial page(社説の反対側)」の略で、新聞発行元の記者ではない社外の著名人が、意見や見解を著したもの。 社説の反対側に掲載されることから、このOp-Edと呼ばれています。
Op-Edの筆者は、在シアトル日本国総領事の山田洋一郎(やまだ・よういちろう)氏。昨年2017年6月にブリュッセルの在ベルギー日本国大使館からシアトルへ赴任されてから、領事主催のレセプションなどで挨拶させていただく機会も多いのですが、とてもフレンドリーで穏やかな雰囲気をお持ちの方です。一方で、多様な地元のイベントに参加されたり、領事公邸でAIイノベーション・ミートアップなどのイベントの一部をホストされるなど、新しい取り組みも積極的に行われています。
そんな山田領事のOp-Edのタイトルは、「Protect victimized, vulnerable, voiceless immigrant wives」。直訳すれば、「虐待された、弱者にある、声に上げない移民妻を守れ」という表題。
アメリカ人男性と結婚した外国人妻が国際離婚に至った場合に置かれる弱い立場について、サポートが必要だと提言する内容になっています。「アメリカ人男性と離婚をする日本人女性が、言葉・文化の壁から社会から孤立し、またアメリカでの法律・裁判の流れなどの知識がないままに、男性側に有利な状況で離婚裁判を強いられる」、そんなリーガル・ケースが非常に多いことを、山田領事自身もシアトルへ赴任してから初めて知って驚いたそうです。この問題を知ってから、ワシントン州議員などへ補助・サポートの必要性を訴えているとのこと。そんな中での今回のOp-Edです。
山田総領事の記事の詳しい内容は、ぜひシアトル・タイムズの記事を読んでください:https://www.seattletimes.com/opinion/protect-victimized-vulnerable-voiceless-immigrant-wives/
私自身、国際結婚をしてシアトルで生活するなかで、「外国人」として生活し、仕事をし、育児をし、近所・親族付き合いをし、そして結婚生活を送る大変さを身に染みて感じることは多々あります。日本人の友人のなかには、国際離婚後に、家族のサポートが得られて仕事も探しやすい日本へ子供たちを連れて帰国したいものの、共同親権のために日本へは帰れず、なんとか仕事と育児を両立しながら頑張っている人もみられます。もちろん、虐待などの問題がない限り、子供たちと父親の関係は大切ですし、母親の親権が強い立場になりやすい日本の状況よりもワシントン州の法体制の方が理には適っていると私は思います。しかし、山田領事が提言される通り、法的な弱者に立つ外国人妻への何かしらのサポートは、確かに必要!!
幸い、シアトル在住の私の周りの日本人女性は、国際離婚に至るケースでも、しかるべき弁護士を立てて正当な権利を確保しているケースが多いです。シアトル近郊に住んでいれば、日本人コミュニティー内のつながりも持ちやすく、日本人弁護士を含む様々な日本語サービスへのアクセスが容易ですしね:)しかし、ワシントン州内の遠隔地に住んでらっしゃる場合など、本当に社会から孤立して非常につらいケースに陥る可能性も高いのだろうと思います。
今回の山田総領事のOp-Ed寄稿を機に、国際離婚に際しての外国人妻に対するリーガル・アブユーズの問題がもっと一般的に認知され、何かしらのサポート体制の確立に進むと良いですね!
実は、何ともタイムリーなことに、ソイソースでは5月に「国際離婚」を特集。山田領事のインタビューも別号で企画中です。毎月第2、第4金曜日発行の「ソイソース」を、宇和島屋他日系店舗でぜひ手に取ってご覧ください!