10年前からアーミッシュ文化について調べている筆者が、2度にわたってペンシルヴァニア州、オハイオ州のアーミッシュ・コミュニティーで暮らした体験を紹介。
寄稿・写真 吉田麻葉
■アーミッシュは車に乗ることもある
普段は馬車で移動するアーミッシュですが、自ら運転をするのでなければ車に乗ることは許されています。職場の送迎車に乗って通勤したり、近所の婦人達がドライバーを雇ってショッピングツアーに行くことも。私はレンタカーを借りてアーミッシュコミュニティに滞在していたので、彼らを乗せる機会がよくありました。印象に残っているのは、アーミッシュの女性と一緒に行ったショッピング。冬に向けて子ども用のコートを買いたいという彼女と洋服店に入ったところ、珍しい服の選び方をしていて興味深かったです。
■既製品を改造して着るアーミッシュ
アーミッシュの服装は女性は無地のワンピース、男性はシャツに吊りズボンと決まった型があります。ワンピースやズボンは手作りしますが、防寒用のコートやトレーナー、ニット帽やマフラーは既製品を購入します。ところが、既製品なら何でも買ってよいというわけではありません。なるべくシンプルに、無駄な物を身に着けない、おしゃれを追及しないことを目指しているため、柄物やファスナー、レース、ポケット、フードなどを避けます。となると、洋服の選択肢が狭まって大変! なるべくシンプルな服を購入してから、自宅でポケットをとったり、ファスナーをホックに変えたりの修正を加えて着るようです。そこで、洋服を選ぶときにチェックする点は、ずばり「縫い目」。フードやポケットなど「無駄なもの」をくっつけている縫い目が簡単にはずせそうかどうか。これがアーミッシュが既製品を購入のするときのポイントみたいです。
■香りを楽しむアーミッシュ
紺色の暖かそうなコートを見つけた彼女ですが、どうやらポケットを取り外すのが難しそうで購入を断念していました。(シンプルで無地の商品が多いユニクロや無印良品がアーミッシュコミュニティに進出すれば、こぞってアーミッシュが買い物に来そう……。)結局彼女が購入したのは香りのするパンプキンキャンドル。おしゃれなファッションやジュエリーは許されないアーミッシュですが、「香り」を楽しむことは自由なのです。彼女も香水のコーナーを物色していました。
[麻葉アーミッシュの世界]