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麻葉の見た―アーミッシュの世界 ~第8回~

10年前からアーミッシュ文化について調べている筆者が、2度にわたってペンシルヴァニア州、オハイオ州のアーミッシュ・コミュニティーで暮らした体験を紹介。

寄稿・写真 吉田麻葉

アーミッシュの洗濯物

シンプルな服装、道路を走るバギーなど、アーミッシュのシンボルはいくつかありますが、個人的には洗濯物の風景も特筆に値すると思います。
平均7人の子どもを持つアーミッシュの家庭は、洗濯物の量も膨大。しかも、子どもから大人まで同じ形の服を着ているので、洗濯物が干されている風景に統一感があってきれいです。

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旧式の洗濯機で時間をかけて洗う

私が滞在したアーミッシュの家庭では、洗濯は週に2回程だそうで、午前中の2時間程をかける重労働。「重労働」というのは全自動洗濯機が当たり前の私から見た形容で、当の本人たちは自然に受け入れているようでした。アーミッシュの洗濯機はシンプルで、機能は二つだけ。洗濯槽の底に水流を作るためのファンがついているのと、脱水用のローラーのみ。電線を引かないので、ポータブルエンジンで動かします。アメリカでは乾燥機が主流ですが、もちろんアーミッシュは自然乾燥派。ローラーで脱水しただけの洗濯物を、1枚1枚丁寧に干していきます。できるだけ素早く乾かすために、干し方には決まりがあるようで、お手伝いをしている時に細かく指示されました。
また、水をいちいち取り替えなくてすむように、洗う順番も決まっていました。赤ちゃん用品、タオルやシーツ類、女性のワンピース、子ども服、男性の仕事着というように、汚れの少ないものから洗っていきます。
旧式の洗濯機で時間をかけるこの洗濯方法、とても「アーミッシュらしい」と感じましたが、「アメリカ人らしい」と感じる一面もありました。それは、洗濯洗剤。 一般的アメリカ人の家庭に馴染みのある洗濯剤Tideや柔軟剤のSnuggleを、アーミッシュも躊躇なく使っていました。

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アーミッシュはナチュラル志向なわけではない

ちなみに、赤ちゃん用のオムツも、紙おむつと布おむつの併用。「アーミッシュは自給自足でオーガニック・エコロジー主義で化学的なものを使わない」というイメージを持つ方もいると思いますが、実際は違うようです。大量生産商品のシャンプーや洗剤、農薬も使いますし、歯磨き粉や化粧水も利用します。実は洋服も、化学繊維OK。彼らが昔ながらの生活を貫いているのはナチュラル志向だからというわけではないようで、ただただ、聖書に基づいた生活をしたい、というキリスト教の信仰を大事にした結果、サステナブルな生活様式が実現している、というのが実際のようです。

[麻葉アーミッシュの世界]