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麻葉の見たアーミッシュの世界 ~第2回~

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▲日本ブランドであるジャノメミシンで裁縫をするアーミッシュ
アーミッシュは近代文明を拒否してはいない
アーミッシュというと、「馬車に乗って自給自足をして文明を拒否している人達」というイメージを持っている人も多いと思います。私も最初はそれに近い印象を抱いていました。でも、実際のアーミッシュの生活は思っていたよりも現代的でした。家のトイレは水洗式だし、キッチンには冷蔵庫がある。お母さんたちは電動のミシンで裁縫をしている。電話は家にはないけど、少し歩いたところに電話ボックスがあり、何世帯かで共有して使っている。夜はロウソクで生活かと思いきや、天然ガスを使った電灯があり部屋の中は常に明るい。
「多少の不自由はあるけど、ここでなら生活できそう」というのが正直な感想でした。パン作りのためのパンこねマシーンもあって、毎日おいしい手作りパンを食べられそうだし……
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▲パンのタネをこねる機器飼っている牛の新鮮なバターで作ったアーミッシュのパンは絶品でした
テクノロジーにコントロールされず、コントロールする
―Amish people prefer to control technology than being controlled by it.
これは、アーミッシュのテクノロジーに対するスタンスを説明する言葉です。アーミッシュはテクノロジーに自分達の生活をコントロールされないようにしている、という意味。実際、彼らは家電などテクノロジーの利用をできるだけ制限していますが、完全拒否ではありません。彼らが危険視しているのは、盲目的にどんどんテクノロジーを生活に取り入れることなのです。行き過ぎた便利な暮らしは、アーミッシュが大切している家族やコミュニティの結束を緩めてしまうかもしれない、と警戒しています。そして何より、キリスト教の思想を基盤とした質素な生活がアーミッシュにとって何よりの美徳。「便利な製品を利用するのはダメなことではない。だけど、便利な生活よりも大事なことがある」。そんなふうに考えながら、現代文明と折り合いをつけているようです。
【予告】次回は、アーミッシュの家族に日本食を振る舞った時のお話です。小さな男の子は、寿司を口に入れた瞬間泣き出してしまいました……
10年前からアーミッシュ文化について調べている筆者が、2度にわたってペンシルヴァニア州、オハイオ州のアーミッシュ・コミュニティーで暮らした体験を紹介。[麻葉アーミッシュの世界]