アリゾナ州メサのリタイアメント・コミュニティー
今年の冬、雨のバンクーバーを一時逃れ、アリゾナ州都フェニックスの郊外に位置するメサに2週間滞在。 メサはテキサス州アーリントンなどと並んで、ブームバーブ(急速に発展した郊外都市)のひとつに数えられる。リゾート施設が乱立する一大リタイアメント・コミュニティーを形成し、冬には私と同じく米国北部やカナダ各地から避寒に訪れる「スノーバード」たちがやって来て、最長半年を過ごす。その仮住まいは大きく2種類に分けられ、独立家屋が集まってコミュニティーを形成するもの、モービル・ホームをゲート付きのRVパークに半永久的に設置したものとがある。買 い取りもレンタルもでき、トレーラー持参でキャンプ・サイトに滞在する人もいる。
私の場合は幸い、相棒ジェームズのダンス仲間の女性が彼氏と引っ越した新居に招待してくれた。着いた翌朝、ピックルボール・プレーヤーだという彼氏の案内で、公共コートが6面あるプロスペクター公園へ。毎朝、レンタカーでこの公園に通う日課ができ上がった。ピックルボールに次ぐ、われわれの第2の趣味たる社交ダンスも盛んなメサ。毎日どこかで生バンド付きのシニア向けダンス・パーティーが開催される。主にカントリー・ツー・ステップと呼ばれる簡単なもので、インターナショナル・スタイルの社交ダンスを習っている私たちにはちょっと物足りない。カップル用とシングル用のテーブルが分かれており、男性のシングル・ダンサーは少ないのでどこでも歓迎された。
もちろん、食べ物も旅の楽しみ。バンクーバーで知り合った同地の住民からの入れ知恵で、昼食にイン・アンド・アウトというハンバーガーのチェーン店に入り、これにすっかりハマる。できたての「ダブル・ダブル」バーガーとポテトがいかにもうまそうに赤い盆に載っているのだ。もう1軒、安くておいしいステーキ屋のテキサス・ロードハウスも、特に若者なら1度は行くべき。ピーク時は行列ができるチェーン店で、山盛りの殻付きピーナツがテーブルに置かれ、食べ放題。ポテトやサラダ、ふわふわパンが付いた各種ステーキ定食が12ドル前後から選べる。冷凍肉は使わないというステーキに大満足。
滞在中は幸い毎日快晴、快適。来年も南に避寒で行くことを続けたいと思うが、「カナダのカリフォルニア」とあだ名され、冬でもさほど寒くないバンクーバーを1週間でも留守にすると、年々増える「必要物資」がそろった自宅が恋しくなる。バンクーバーに住んで5年経ち、日常のルーティンができたこともあって、長期のスノーバードは自分には向かないように思う。