Home 観光・エンタメ シニアがなんだ!カナダで再出発 シニアの自覚?

シニアの自覚?

若い頃は「60歳になったらもう立派な老人」と思い込んでいたが、いざ60歳になって友人たちに還暦祝いをしてもらった時は、照れくさいだけで一向に老人になったという自覚は湧かなかった。だが振り返ってみると、シニアライフへの序曲は50歳からすでに始まっていたようだ。unnamed
かつて、50歳でボーリングのシニアリーグに入れるようになり「自分はグループの中で最も若いから有利だ」とは思ったが、自分がシニアの仲間入りをしたのだとは微塵も思わなかった。また、55歳になったある日、病院の食堂のレジ係に「あなたはシニア?」と聞かれて「えっ?」と聞き返したこともある。そして60歳になると、シアトル住民ならだれでも市からもらえるシニア優遇「ゴールドカード」を手に入れた。これを携えて水族館(無料)や動物園などでシニア割引の特権を享受。さらに62歳になると映画館の入場料も割引され、「これは凄い」と思ったりはしたが「まだまだ 自分はシニアではない」と、現実と自覚が結びつかないのである。
さて65歳を過ぎると年齢的には、もう押しも押されもせぬシニア。電車やバスに乗るとシニア割引が利き、バンクーバーの固定資産税もぐんと安くなり大いに嬉しいのだが、その反面、今まで自分が座ることは許されない、と信じて座らずにいた「シルバーシート」については、それが自分のためにあるのだとは依然として思えないのである。
だから、若い人が私の顔を見るなり即座に席を譲ってくれるのにはありがたいやら悲しいやらでつい「No, thank you」と言ってしまうが、「せっかく譲ってくれたのだから座った方が相手に親切」と考え直して座ることもある。また、自分とさほど年齢が変わらないと思える人が「どうぞ」と譲ってくれる時はショックだ。ただし、譲ってくれた人は次の駅で降りることが多いのが、せめてもの救い。
昔から歌好きの私は、TVジャパンの歌謡番組を全部見ているが、五木ひろしや小林幸子など顔馴染みの歌手達が60代になっても髪を黒く染めて元気で、ほとんど昔のままのイメージで歌っている。また70、80代になった北島三郎やマヒナスターズ、この間はかつて「寅さん」の妹役をしていた倍賞千恵子が、しわを気にする様子もなく声量たっぷりに続けて歌っている。髪こそ染めたくないが「私も負けてなるものか」と勇気づけられるのだ。

[カナダで再出発]

滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。