横浜から船でバンクーバーへ その2
いよいよ、バンクーバーに向けて2週間のクルーズに出発。約1,800人を乗せ、横浜から北上するホーランド・アメリカの「ウエステルダム」丸は、2晩の船上泊後、北海道・室蘭、崎守埠頭に上陸した。港では学生やボランティアが訪問客を笑顔で迎える。
「名物のカレーラーメンをぜひ」と言われ、市提供の無料バスで中心街へ。味の大王という店には多くの観光客が列を作り、待つこと45分。その甲斐あってか、辛くてとろみのあるインド風カレースープが麺に絡み、これぞご当地グルメの極め付き。食べるにつれ、うまさが口に広がる。
翌日の釧路は雨。ここでも市内の和商市場まで無料バスが。「東京などとは比較にならないくらい新鮮」と知人が言っていたのを思い出し、近くの寿司屋へ。期待にたがわず、完璧に炊かれた寿司めしの上にネタがぎっしりの北海道版ちらしは、バンクーバーでは味わえない。
夕刻、船は太平洋を東に向けて滑り出すも嵐に突入し、船長の判断で北に迂回。船がぐらぐら揺れ、楽しみにしていたピックルボールもダンスもできず。おまけに船酔いで抵抗力が弱まったのか、のども痛み出す。こんなに荒れる大洋で6日間船上に箱詰めになるとは思いもしなかった。食事も「アジア風味」と銘打ってインド料理、中華、寿司など日替わりで出るが、どうにも食指が動かない。
海がようやく静まり返った頃、人口6,000人にクマが3,000匹とも言われるアラスカ州コディアックに到着。陸に上がる乗客を見ると何人もが「ごほんごほん」と咳をし出す。それでも食いしん坊のわれわれは、板前もスタッフも日系の「ちゃんとした」日本食レストランを見つけ、海の近くならではのアラスカ版ちらしを味わう。
翌日はアイシー・ストレート・ポイント。クルーズ用に開発された船着き場には先住民の博物館や食堂も数軒設けられ、そこから30分歩くとフーナーという小さな町が見られる。景色はいかにもアラスカらしく、初めての人の目にはその山々や海の大自然が極めてエキゾチックに映るだろう。最終寄港地のケチカンは、19世紀末に漁業や缶詰工場、林業などで栄えた町。人口8,000人強だが、前の2カ所と比べるとずっと大きく感じる。通りにはクルーズ目当ての土産物屋がこれでもかと続く。
翌日、美しくて穏やかなインサイド・パッセージをゆっくり通過して朝目を覚ますと、摂氏20度で快晴のバンクーバーに到着。クルーズ客でにぎわうコール・ハーバーはいつもよりことさら美しく、当地最高の季節が「ウェルカム・ホーム」と歓迎してくれた。