100年以上も前にヤキマ市に移住し、日系コミュニティーを築いた日本人および日系アメリカ人の歴史をたどる歴史展「Land of Joy and Sorrow - Japanese Pioneers of the Yakima Valley(喜びと悲しみの地-ヤキマバレーの日本人開拓者たち)」が、ヤキマ市のヤキマバレー博物館で開催中だ。
1900年初頭、ヤキマ市に移住した日本人たちは故郷から遠く離れた地で、農業などを営み活気あふれる日本人コミュニティーを築いていった。しかし、1942年、アメリカ各地で日系人の強制収容が実施される中、同市の日本人および日系アメリカ人1018人もワイオミング州ハート・マウンテン強制収容所への収容を余儀なくされた。
ヤキマから強制収容された日系アメリカ人のジョージ・ヒラハラ氏は収容所内の様子を密かに2000枚以上の写真に収めたことで知られており、それらの写真が、強制収容の実態を後世に伝えるのに重要な文献であることは言うまでもない。1500平方フィートもの広い会場では、当時から残る生活用品、工芸品、着物、おもちゃ、三味線などが観覧でき、当時を再現した部屋や数々の写真を通して、日本人および日系人移民の生活や苦難の様子を垣間見ることができ、収容所で日系人が直面した耐え難い生活環境、その中で生きた日系人の強さ、戦後日系コミュニティーとして今一度立ち上がった様子などがひしひしと伝わってくる。
そんな中、今回、展示品のひとつであるハート・マウンテン収容所で使われた、ヒラハラ一家が所有するソフトボールがスミソニアン博物館へ寄贈され、5月から同館の日系収容所部門「The Price of Freedom -Americans at War(自由の代償-戦地のアメリカ人たち)」展で展示中。同館では、日系人収容所政策へ導いた大統領令9066号発令の75周年にあたる2017年に特別展示会を予定しているとのこと。ヤキマバレー博物館ディレクターのジョン・バウレ氏は「ヤキマの歴史の一部がスミソニアンの展示に加わるのは光栄なことです」と語った。
「Land of Joy and Sorrow」展は2018年まで展示予定。
Yakima Valley Museum 場所:2105 Tieton Dr., Yakima, WA 98902 時間:月~土 10am~5pm 料金:一般 $5、学生・子ども・シニア $3、一家族 $12、5歳以下 無料 詳細:www.yakimavalleymuseum.org ☎509-248-0747 contact@yakimavalleymuseum.org