ストップモーションアニメーションの
裏側を覗く
「隠された世界:
スタジオ・ライカの映画」
ミュージアム・オブ・ポップ・カルチャー(MoPOP)では、スタジオ・ライカの特別展示を8月11日まで開催中です。スタジオ・ライカが制作した全作品に使用した技術や小道具を見ることができます。
取材・文:リー・ジャニス
各キャラクターに用意される小道具、顔と身体のパーツ、そして衣装の多さに圧倒される
SF・ファンタジー作品に与えられるヒューゴー賞を受賞した名作『コララインとボタンの魔女』を制作した、ストップモーション・アニメーションスタジオのスタジオ・ライカは、3Dプリンティング技術を用いて映画のコマ1秒ごとに数々のカットを撮影して唯一無二の作品作りをしている。
▲ 可愛らしいピンクの外装とは裏腹におどろおどろしい雰囲気が滲み出ている
展示会場に入ってまず印象的だったのは『コララインとボタンの魔女』に出てきたピンクの家だ。想像以上の大きさに大興奮。なぜなら、主人公コララインの物語はこの家に引っ越してきたことをきっかけに始まり、彼女が抱えることになるトラブルが起きる重要な場所だからだ。物語のほとんどが家の中で完結するため、細やかな塗装や繊細な装飾に注目すると良いだろう。次に驚いたのは、実際に映画で使用されたセットや小物だ。映画で見ると小さく感じるセットが、実物は期待を超えはるかに大きく作られていた。キャラクターの衣装が展示されているショーケースもあり、こんなに作りが細かいのかとそれぞれのギャップに驚かされた。
筆者が鑑賞したことがある作品は、『コララインとボタンの魔女』と『ボックストロール』の2作品のみだったが、それ以外の作品もキャラクターのデザインが魅力的で、凄まじく印象的だった。特徴的なシルエットやキャラクターの性格を表したイメージカラー、個性的な衣装など、一度見たら忘れられられないデザインに見惚れた。中でも、日本を舞台にした映画『KUBO/クボ二本の弦の秘密』に登場する武将を模したキャラクターに引かれ、すぐにでも映画を観たくなった。クワガタのような兜と鎧、そして真っ赤に近い色の肌は彼の陽気な性格を表しているようだ。
展示の最後のエリアへ進むと、自身が作品の世界に入り込んだ感覚になるブースや、実際にストップモーション・アニメーションに近いやり方で作品作りにチャレンジできるコーナーがあり、時間が経つのも忘れ、ついつい長居してしまった。
全作品を網羅していなくても楽しめる仕掛けがたくさんあり、子どもたちも興味深そうに展示物を覗き込んだり触れたりしていた。物語の顛末を知ってしまうことになってもなお、楽しめること間違いない。クリエイティブな造形作品作りや、アニメーションに関心がある人にはこの展示を強くおすすめしたい。
場所:Museum of Popular Culture(MoPOP)
325 5th Ave. N., Seattle, WA 98109
料金:一般$32.75~、学生$30~、5歳~12歳$24.75~、4歳以下無料
※入場料と特別展示のライカ展を含む
問い合わせ:☎️206-770-2700、info@mopop.org
詳細:www.mopop.org