今季のマリナーズはイチロー選手が5年半ぶりにチームへ復帰。5月4日からのロサンゼルス・エンゼルスとの3連戦で、注目の新人、大谷翔平選手との直接対決を期待していたファンも多かったのではないでしょうか?
しかし、3連戦の前日の電撃発表で直接対決はならず。イチロー選手は球団会長付特別補佐に就任し、ユニフォームを着てチームと一緒に練習を続け、遠征にも同行するものの、今季はもう試合に出場しないと発表されました。
そもそもイチロー選手のマリナーズ復帰が決まったのは、正左翼手のベン・ギャメル選手がキャンプ中に脇腹を痛めたため。そのギャメル選手が故障から回復すると、果たしてイチロー選手はどうなるのか、現役引退の可能性もあるのではと大注目を集めていた最中の出来事でした。
少なくとも50歳までは現役を続けたいというイチロー選手には、まだまだ引退する気持ちはなし。マリナーズ以外のチームでプレーする気持ちもないようです。一方、アメリカ4大プロ・スポーツで現在最長の16年連続でプレーオフを逃しているマリナーズは、今勝利に貢献できる選手を起用したいものの、球団のレジェンドの顔に泥を塗るような真似はできません。両者の話し合いの結果、至ったのが、今回のユニフォームを着たままの、特別補佐就任でした。
以後、イチロー選手は試合には出場しないものの、以前通り練習には参加し、クラブハウスのロッカーもそのままです。また、デーゲーム前には試合に出場するチームメイトがクラブハウスへ引き上げた後も、フィールドに残って背面キャッチの技を披露したり、サインをしてあげたりするなど、ファンサービスにも非常に熱心です。
ただ、試合中はベンチに入ることが許されず、ベンチ裏のテレビでチームメイトの活躍を見守っているのだそう。試合に勝てば以前のようにフィールドへ飛び出し、チームメイトと一緒に勝利の喜びを分かち合っています。試合に出れないのは悔しいはずですが、チームメイトと接するイチロー選手の姿は本当に幸せそうです。そして、3月の復帰以来、ご本人もことあるごとにハッピーだと口にしています。ヤンキース、マーリンズ時代を経て「ホーム」に戻って来た喜びが、言葉の端々から伝わってきます。
来季、マリナーズは東京ドームで開催されるオークランド・アスレチックス戦で開幕を迎えます。日本遠征試合では選手枠が通常よりも3人多い28人となるため、イチロー選手が試合に出場する可能性は濃厚。その日を楽しみにしているのは私だけではないはずです。