『Avengers: Age of Ultron』 マーベルコミックスのスーパーヒーローを集めて、地球破壊を目論む敵と闘うという内容で全世界で大ヒットとなった 2012年の『アベンジャーズ』の続編だ。内容は変わらず、前回の敵はロキという宇宙人だったが、今回の敵は高度に発達した人工知能ウルトロン(声:ジェームズ・スペイダー)だ。 地球の危機を救うためアイアンマン(ロバート・ダウニー・J r)、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、ハルク(マーク・ラファロ)、ソー(クリス・ヘムズワース)、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、ホークアイ(ジェレミー・レナー)が結集。と、聞こえは良いが、ヒット作を連発しているマーベル・スタジオズもネタ切れ、スーパーヒーローの叩き売りか、という先入観をもった 1 作目だったが、意外と面白かった。
各ヒーローのキャラクターが明確に描き分けられ、互いのエゴの張り合いやウィットに富んだセリフのやり取りを挟みなが ら、連発花火さながらのアクションシーンを繋げていく脚本と演出が成功を生んだ。脚本/監督は『トイ・ストーリー』を共同執 筆したジョス・ウィードンで、本作も彼が脚 本/監督を担当している。 本作ではヒーローたちに恨みを抱く双子の姉弟(アーロン・テイラー=ジョンソン、エリザベス・オルセン)などを加えているが、登場人物が増えれば増えるほどスーパーヒーローの満漢全席の趣。メニューの多さ、登場人物の名前と俳優名だけで本稿が一杯になる過剰さに、食傷の感は否めなかった。しかし、ストーリー的にはきちんと整理され、混乱がなかったのはさすが。 この手の映画はスタート時点から、世界でどれだけヒットさせることができるかという目的と、総製作費 280 億ドル (3 兆3600 億円 !)を回収できる映画でなくてはならない運命を背負っている。だからこそ、ハリウッドの有名実力派俳優を配し、最新鋭の特撮技術を駆使してアクションを満載。ちょっとだけロマンスと家族愛のテイストを加味し、観客を飽きさせない巧みな脚本と演出で映画を完成させる。結果は、公開 2週目にして全世界での興行収益875億ドル、商品としては上出来、大成功である。 それにしてもこの大成功、ファーストフードが世界を席巻している状態とそっくりで、少しもうれしくない。 上映時間:2時間 21 分。シアトルはシネコン等で上映中。 [新作ムービー]