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ファン待望の娯楽大作
Guardians of the Galaxy Vol. 3
邦題「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: VOLUME 3」
280億ドル(約4兆円)以上という映画史上最高の収益を上げているマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の一翼を担うシリーズの最終作だ。2014年に初作品が公開され大ヒット、2017年の2作目も失速せず本作に至る。結果は、期待通りのガーディアンズらしい娯楽大作だった。
本シリーズは、宇宙のごろつき集団がけんかしながらも互いを助け合い、危機を乗り越えるという設定で、「アイアンマン」などの他のMCUと比べるとスーパーヒーロー的エリート感はゼロ。グロテスクになりがちなアクションシーンを補うユーモアと明るさ、徹底した楽天性が持ち味だ。
人間の言葉を話す口の悪いアライグマや、ひと言しかしゃべらない樹木型ヒューマノイドが子どもたちを引き付け、全編に流れる70、80年代の大ヒット曲で親世代の気持ちもつかみつつ前進してきた感がある。要は年齢問わず誰でも気軽に観られるのが特徴で、これまで全作の脚本・監督を担当してきたジェームズ・ガンの作風とも言える。
登場人物がとにかく多いため、ここではあらすじを書き切れない。本作の主人公は、これまでは脇だったアライグマのロケット(声:ブラッドリー・クーパー)。負傷したロケットの命を救うためにガーディアンズが宇宙を駆けめぐるという物語だ。1、2作目の主人公はガーディアンズのリーダー、ピーター・クイル(クリス・プラット)で、自称スター・ロード。しかし、いくら彼がシリアスぶってもスター・ロードには見えないし、ポップな音楽に合わせて踊る姿はコミカル。本シリーズの軽快さはそんな彼の個性が基調になっている。
だが今回は、ロケットがいかにして人間の言葉を話すように改造されたのかが描かれ、愛らしい動物が実験に使われるエピソードは、軽さが身上の本シリーズから逸脱しているようにも見えた。いかにもお涙ちょうだい的な過剰演出にも取れる。とはいえ、2時間半を飽きずに鑑賞。ガーディアンズのファンならそれなりに楽しめる作品だと思う。
近頃、筆者の住む田舎町で上映されるのは、こうしたディズニーの大作や、特撮/大音響を満喫できるアクション、ホラーといった映画ばかりだ。自宅の大画面で映画鑑賞ができる時代、製作側もシアターで楽しめる映画作りに特化している。それがMCUの大成功につながっているのも確かだ。
シアターはこれからさらに遊園地化していくだろう。果たして、そんなアメリカ的手法がどこまで万能なのか。ゲーム業界の収益に及ばない映画業界の先行きは不透明。映画上映をするシアターの寿命もあと10年ほどかもしれない。軽いノリの作品を観たあとで、不吉な予感がよぎった。
Guardians of the Galaxy Vol. 3
邦題「ガーディアンズ・オブ・
ギャラクシー: VOLUME 3」
写真クレジット:Marvel Studios
上映時間:2時間29分
シアトル周辺ではシネコンなどで上映中。