シニアがなんだ!カナダで再出発
在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務した後に、2013年定年退職した武田 彰さんが綴るハッピー・シニアライフ。国境を超えるものの、シアトルに隣接する都市であるカナダのバンクーバーB.C.で過ごす海外リタイアメント生活を、お伝えしていきます。
シー・トゥー・スカイ・ハイウェイを通りスコーミッシュへ
8月半ば、友人を乗せてスコーミッシュへ日帰りドライブ。スキー場で有名なウィスラーへ向けてバンクーバーから北上するハイウェイの途中には、よく知られたシャノン滝や、シー・トゥー・スカイ・ゴンドラがある。今回、いつもは素通りしてしまう絶景スポットにも立ち寄ってみた。人混みを避けて平日に出かけられるのは退職後の大きな余得か。
さて、カナダBC州最大のハイウェイ・プロジェクトで2009年に完成した、このシー・トゥー・スカイ・ハイウェイだが、2010年のバンクーバー冬季五輪誘致のために反対運動を押し切って造られた経緯がある。五輪の開催で雇用機会とGDPは大幅に拡大し、カナダ史上最多の14個の金メダルを獲得。同時に、かつて「死のハイウェイ」と呼ばれた事故多発道路は、拡張により事故が激減した半面、交通量は激増している。
私が最も愛する景色は、ウエスト・バンクーバーからホースシュー・ベイを越えたすぐ左に見える。ハウ湾の向こうに、ボウエン島など自然あふれる大小の島々が。遠くには雪を頂く山々もそびえる。スコーミッシュに入る直前にはニッケー・ビュー・ポイントも。標高2,678メートルのガリバルディ山を始め遠くに連なる山々、スコーミッシュ市街が一望できる。
ついでに珍しいスコーミッシュ三角江も見てみたいと、愛車のホンダ・アコードを走らせるも、途中からの未舗装路にあきらめ、引き返す。スコーミッシュ川がハウ湾に流れ込む三角江は、凧揚げほか、カイトボードなど夏風を利用したスポーツが盛ん。カワウソやコウモリといった多くの野生動物も生息する。SUVがあれば、ぜひ行ってみたかった。
スコーミッシュに来ると昼食がてら毎回訪ねているのが、中心地から10分ほど北上するブラッケンデールの分水界と、その水辺にぽつんとあるウォーターシェッド・グリル。11月から3月にかけては、抱卵にやって来る鮭をキャッチするハゲワシが見られることも。
スコーミッシュのダウンタウンはバンクーバーから車で約1時間、ウィスラーとのちょうど中間に位置する。カナダの「アウトドア・レクリエーション・キャピタル」と称される街だ。「チーフ」と呼ばれる巨大岩でのロッククライミングは有名。パンデミックで在宅勤務が可能になり、アウトドア・ライフの魅力も相まって、最近は居住地として脚光を浴びる。自分も住んでみたいとは思うが、家屋の値段はすでにバンクーバー並み。
帰りは、スコーミッシュから20キロほど海側に折れる美しい入り江、ポートー・コーブへ。桟橋には展望塔も整い、記念撮影にもってこいの場所だ。美しい景観を愛で、カナダの思い出にしていただきたい。