シニアがなんだ!
カナダで再出発
在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務した後に、2013年定年退職した武田 彰さんが綴るハッピー・シニアライフ。国境を超えるものの、シアトルに隣接する都市であるカナダのバンクーバーB.C.で過ごす海外リタイアメント生活を、お伝えしていきます。
近頃思うこと
冬季はピックルボールをする機会が減り、退屈する。ついこの前までハワイで 2 週間の「食っちゃ寝」生活を送っていたが、その延長か。早くボケるのではと、ちょっと心配。
正月には、弟夫婦の次女とLINEでビデオ通話。弟宅に集う延長家族 15 人全員が順に映し出され、6 年前に会った際の記憶がよみがえる。わが外国生活は 50 年になるが、その間に弟夫婦の 3 人の子からこんなにも家族が膨らんだ。正直、ビデオ通話は自分の顔が映るので得意ではない。日本人は他人の身体の変化を普通に口に出す。北米人はこのようなことは聞きたがらない。特に「太ったね」が禁句なのは、こちらに来て覚えた。だが弟は、私の顔を見るや開口一番、「年取ったね!」。「おまえこそ」と言いたいのをグッとこらえるが、弟が 67 歳になっても住宅建築の仕事をまだ続けられているのは、健康だからこそだろう。弟一家全員が平穏に暮らせているようなので安心する。それは当然ではなく、奇跡だと思うこの頃。
最近は寝付きが悪い。夜中に目が覚めると、もう眠れない。睡眠を促すメラトニンのサプリメントを数年前から飲み始めたが、あまり効かなくなった。そんな時、考えないようにしても頭に浮かぶのは、先延ばししている遺書の書き換え、法的代理人の指定や委任状の作成といった煩わしい手続き。パンデミックで諸活動が停滞した 3 年間を経て、すっかり怠け癖が付いてしまった。ある歌が頭に浮かび、同じ節が頭にこびりついて離れないことも。
友人たちもよく似た状況らしい。悩みをシェアすると、地元ラジオ局発の情報を教えてくれた。寝付きを良くするには、就寝前にテレビやパソコンなどブルーライトを放つ画面は見ない、読書なら恐怖・推理ものは避ける、など。私がしていることは全てペケなのだ。さらに、カフェインや飲酒を控える、メディテーションや深呼吸で神経を落ち着かせる、就寝1時間前にアラームを設定して脳に「眠る時間だよ」と合図を送る、心身を就寝モードに移行するためのルーティンを作る、と効果的な方法はいろいろあると言う。
これを聞いてから、午後 9 時以降のテレビ視聴は「笑点」に切り替え、読書も桐野夏生から浅田次郎に変更。いつもより30 分早くベッドに入り、眠くなるまで本を読んでみた。すると単純にも、メラトニンなしで眠りに就けたのだ。相棒のジェームズも、テレビでニュース番組を観ていると、「大方悪いニュースなのに、ストレスがたまらない?」とひと言。なるほどと納得し、ローカル局のハイライト版のみに絞り、CNNは避けるように。早朝のピックルボールを再開させ、昨夏のように早寝早起きを習慣付けるのもいいかもしれない。シニアライフは問題解決も毎日の課題。