シニアの巣ごもり生活
3月中旬から、朝起きて CNN とカナダの公共および民間のローカルニュースをザッピングしながら観るのが新たなルーティンとなった。
罹患者や死亡者が世界中で、特に米国で増えていく。わがストレス・レベルも急上昇し、気が付くと喉は腫れ、目にはものもらいができ、全身がかゆくて夜は眠れない。珍しく体調を崩し、感染リスクがあるものの仕方なく診療所に行ったり、逆にバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア(BC)州は感染が比較的少ないことを幸運に思ったりして数週間が経過。新習慣に慣れたのか、諸症状は徐々に治まった。
かつてない惨事の対応におろおろする隣国政府が気がかりだ。多くの読者も明日への不安を感じておられるだろう。手前味噌ではないがカナダはというと、中央・地方政府の各代表が連日の会見で発表する見解やガイドラインは医・科・経済学などに基づく良識的なもので、指導者の有事対応として適切と言える。
米国と違い、メディアと大統領のやり取りも攻撃的にはならず、批判の声は議会内の与野党間でしかあまり聞こえてこない。カナダにはセンセーショナルな主要メディアがないせいかもしれないが、カナダにおけるコロナ禍の救済措置の成果について、少なくとも私の周りではおおむね納得しているように見える。政府はライフライン的なビジネスのみならず、レストランなどの小規模経営者から、学生、ホームレスに至るまであらゆる層を対象に救済策を次々に打って出ている。
たとえば、一時解雇された YMCAインストラクターは、3月半ばに職場が閉鎖されて間もなく失業手当をもらえた。5月初旬には職場復帰を言われたものの、給料よりも政府からの資金援助合計額のほうが多いので、当分の間は復帰したくないと言う始末。
また、低所得者として州政府から給付金をもらっている友人のシニアは、3月末から毎月300カナダドルを上乗せされた額が口座に自動的に振り込まれていると話す。さらに5月12日には、シニアを対象とする300〜500カナダドルの一時支援金が国から発表された。このようなお金は一体どこから出るのだろうと不思議に思うほどだ。
BC州では5月半ばになると規制緩和が始まり、まず公園やテニス場などが開かれた。趣味のピックルボールが屋外限定、規制付きで許可され、以前の生活が少し戻った。ちなみに5月中旬時点でBC州内の罹患者は連日2〜20名ほど。死亡者は数名と、ゼロとはいかないものの平衡状態を保っていてひと安心。
米国との国境が開かれるのは早くて6月21日とされる。それでもシニアは当分、この巣ごもり生活を強いられるのか。早く以前のようにシアトルへすいすいとドライブして旧友となじみのレストランで再会したり、コミュニティーセンターでピックルボールを楽しんだりしたい。それは、ワクチンが開発されるまでおあずけ?