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バンクーバーの日系団体で安心を発見

canadaRestart20150101バンクーバーに移住した直後、地元の人たちと交流するには気心の知れた日本人、日系人のコミュニティーに顔を出すのが 手っ取り早いと考えてネット検索をする と、バーナビーにある「日系プレース」と、バンクーバーにある「隣組」が浮上した。

日系プレースには、「日系ナショナル博物館及び文化センター」、高齢者ケア施設の「日系ホーム」、政府等の援助によるアフォーダブル・ハウジングの「さくら荘」の3つがまとまって建つ。この一角には小さいながら も日本食品がほとんど何でもそろうスーパー「すず屋」、トンカツ、カレー、焼き魚等日本独特の家庭料理が10ドル前後で大盛りセットで出 される日本食堂「ハイ・ゲンキ」があり 、私は毎週火曜のカラオケ教室参加の折にここで昼ごはんを食べたり日本食品を買ったりしている。

文化センターには日本関係の展示が交代で催されるこぢんまりした「日系ナショナル博物館」もあり、その他、武道やフィット ネス、日本語教室等、日本に関する様々なプ ログラムが組まれており、暮れの餅つき大会や夏の日系祭り等の年中行事も、多くのボランティアの協力を得て盛り上がる。

隣組は、バンクーバー・ダウンタウンのはずれにある、主に日系人および日本人シニアをサポートする団体。ここでもエクササ イズ、E S L、日本語教室、シニア向け認知症 テストなどのプログラムが多く提供されて いる他、日本語図書の貸し出しも行われ、新移民やシニアを支援するサービスが提供さ れている。

カラオケ常連の日系人が11月のメモリ アル・デーに、自分の家でカラオケをしよ うと有志に声をかけた。出かけると、やは り日系の夫人が出迎えてくれ、初対面とい うのに私のファーストネームを呼び当て、暖かく迎えてくれた。地下室は、壁一面に カラオケ・セットと DVD が埋まった棚があり、もう一つの壁面には、順 番がわかるようにと全員の 磁石式ネームプレートが用 意されている。その中に、前日連絡したばかりの私のネームプレートもきちんと 印刷されて並んでいるではないか。

テーブルのあちこちにおつまみの皿が配置され、部屋の奥の方にはケーキ、 餅菓子、コーヒー、緑茶が用意されており、まさに至れ り尽くせり。一応自分も日本人だからと、持参した駄菓子を奥さんに差し出すと「何も持ってこないでと言ったのに」と遠慮がちに受け取り、素早く盛り皿に移し替えてゲストに供する。さらに会が終わったら、さっと残りのおやつを紙皿に包んで参加者に手渡す心配り。カナダで老後を送る私に とって、安らぎを感じる発見と経験だった。

[カナダで再出発]

武田 彰
滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。