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ワーキング・ホリデー

バンクーバーのダウンタウンで、コーヒーショップ、レストラン、小売店などに行くと、しばしば日本人らしい若者がカウンターの後ろに立っている。「こんにちは」と話しかけると、笑顔とともにちゃんとした日本語が返ってきて途端に嬉しくなる。シアトルではあまりなかった光景だ。デンマン・ストリートのフランス風カフェやグランビル・マーケットのチョコレートショップの店員も若い日本人女性。拙宅の近所のブレンズ・コーヒー店は日本人女性 2 人が仕切っていた。聞いてみるとほとんどが、働きながら外国の文化を学べる「ワーキング・ホリデー」というプログラムでカナダに滞在しているのだという。

 

バンクーバーのカフェで朝食中に出会った、イエローナイフでワーキングホリデーをしたという日本人女性たち
バンクーバーのカフェで朝食中に出会った、イエローナイフでワーキングホリデーをしたという日本人女性たち

先日、うちの近くの朝食専門店でオムレツを食べていたら、隣で若い日本人女性 2 人がパンケーキを頬張っていた。BC 州より更に北のノースウエスト準州に位置するイエローナイフという町のカフェで働きながらカナダ生活を体験した帰りだという。人口 2万人弱の極北のその町では、自宅から毎日オーロラが見えるのだと言って、携帯電話で撮った写真を見せてくれた。その一人、福岡市から来た恵美さんは、学生の頃から海外で生活してみたいという夢を持っていたものの、留学は経済的に難しかったそうだ。そこで調べるうちにワーキングホリデーのことを知り、カナダに来た。「地元に密着したカフェで働いたので、バンクーバーなどの都会と比較すると、現地の人たちと言葉を交わす機会が多くて、良い経験になりました。犬ぞりを体験したことも楽しかったです」と、満足そう。日本外務省によるとワーキング・ホリデーは「二国・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度」で、若者に他国や他地域の文化、生活様式を理解する機会を提供し、相互理解を深めることを趣旨とするものだそうだ。この制度で日本に滞在する外国人は年間 1 万人。カナダは昨年、日本から 6,500 人を受け入れている。参加資格は、18 歳以上 30 歳以下の初体験者で、最低 2,500 カナダドルを所持し、滞在期間中は医療保険に加入しており、カナダ国内で仕事がまだ内定していないこと。参加費は 150 カナダドル。
現在、日本とワーキング・ホリデーの協定を結んでいるのは、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国など 12 カ国。バンクーバーがシアトルよりも国際的な印象があるのは、このプログラムが少し貢献しているのかもしれない。

[カナダで再出発]

武田 彰
滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。