今年もシアトルの女子プロスポーツチームに日本人選手が加わっています。シアトル・ストームのロスター入りを果たし、今月6日の開幕戦でWNBAデビューを迎えた渡嘉敷来夢選手です。191cmの長身と抜群の運動能力を誇り、ダンクシュートもこなす日本女子バスケ界期待の星。桜花学園高校時代は1年生から主力として活躍し、同校は3年連続で全国優勝。JX-ENEOSサンフラワーズ加入後、5年目の今季はチームの7連覇に貢献。得点、リバウンド、ブロックショット、フィールドゴール成功率でリーグトップ成績を残し、シーズンとプレーオフの両MVPを受賞。国内無敵状態となった今、世界のトップ選手がしのぎを削るWNBAへと成長の場を移しています。
シアトルでは新しいことだらけ
日本では連覇街道まっしぐら。常に優勝のプレッシャーと戦ってきた渡嘉敷選手ですが、新天地ではこれまでとは違った経験を積んでいます。昨季12勝22敗と大きく負け越し、11年ぶりにプレーオフ出場を逃したストームは、再建モード真っ只中。監督が交代し、選手12人のうち9人が入れ替わる中、みんなと同じスタート地点に立てる現状をかえって「恵まれている」と話しています。 日本では身長差を生かし、ゴール下からのシュートやリバウンドを狙うのが役目。ストームでは外側からドライブインして得点を稼ぐ役目。ファウルを恐れ避けがちだった敵選手とのコンタクトも、積極的にいくようすすめられ、「試合に出た時に自分が一番元気」と、途中出場にさえ新鮮味を感じているようです。寮を出て、自炊を始めたのも生まれて初めてのこと。目まぐるしい変化の中で、ブーセック監督は「彼女には『It Factor』がある。これは教えようがないもの」と渡嘉敷選手の天性のセンスを高く評価しています。
WNBAデビュー後は五輪出場権も
1年前の開幕戦はキーアリーナの客席から観ていたという渡嘉敷選手。今年の開幕戦は、日本から駆けつけたチームメイトやコーチ陣がコートサイド最前列から見守る中、背番号7番をつけてコートに立ちました。声援を意識し過ぎたのがプレッシャーとなり、この試合は「これまでで一番緊張した」そう。しかし、試合が進むにつれ、リズムをつかみ、記念すべきWNBAデビュー戦を白星で飾っています。 WNBAのレギュラーシーズンは9月上旬までですが、渡嘉敷選手の活躍を生で見たい方はお早めにキーアリーナへ。8月29日から中国で始まるアジア選手権出場に向け、シーズン終盤にはチームを離脱するためです。そこで優勝すれば、日本代表はリオデジャネイロ五輪の出場権を手にすることに。この夏は渡嘉敷選手から目が離せません。
[スポーツウォッチング]