11月初め、友人ふたりとハワイ島に飛ぶ。5月に大噴火し出したキラウエア火山も夏が終わると静まり、何十年間で最もきれいな空気に迎えられた。コナは30度の暑さ。レンタカーで、まず島内唯一のコストコに立ち寄り、当面の食料を安く調達する。カイルア桟橋界隈はのどかな雰囲気。コナ・コースト沿いにホテル、レストラン、土産物屋が半マイルほど続く。
翌日は島の東にあるヒロまで、2時間のドライブ。古くから日系人が住み、雨が多い街と聞く。着く手前で熱帯植物に囲まれたレインボー滝を見る。ヒロは人口4万人超えのハワイ島最大の都市。歴史的な木造建築が並ぶダウンタウンは、レトロなムードが漂う。昼食にトンカツ専門店を見つけて入ると、日本人の店長や客と話が弾む。「なぜ雨が多いヒロへ移住を?」と尋ねると、「降る確率は5割、降ってもすぐ止むので気にならない」とのこと。ファーマーズ・マーケットも立派だし、また来る時はこの街に泊まろうと思った。
デイライト・セービング・タイムがないハワイでは、午前・午後共に6時前後に夜が明け、日が暮れる。坂の上のショッピング・センターから見た夕日は見事だった。同時刻、広場で行われていた無料のフラダンス・ショーでは、コンテストに優勝した少女の美しく流れるような動きと、フラダンサー特有の極上の笑顔に感動した。
南北に走る11号線を南に数十分ドライブすると、道路脇に小さな町が見られる。日系人創業者の娘さんが店を守る1926年創業の生地屋を覗いてみた。ハワイ柄はもちろん、バティック(ろうけつ染め)や和柄の生地が所狭しと並ぶ。菊模様の生地がどうしても欲しくなった私のために、手先の器用な友人、ジェームズが襟なしのシャツ作りを引き受けてくれた。土産に「月と兎」模様の藍染めの暖簾用生地も購入。さらに南下すると、ハワイ諸島を発見した英国の探検家、キャプテン・クックが命を落としたとされるキャプテン・クックの町へ入る。歴史的な町並みを見るのは旅の楽しみだ。
一方、19号線を北に進むドライブでは、各時代の噴火によってできた火成岩に覆われる風景が続く。途中のカワイハエにポツンとあったレストランで昼食。地産の魚もハンバーガーもおいしくてラッキーだった。昼食後は東に向かい、山の上の野原に放し飼いされた牛や、多数の熱帯植物を見つつ、250号線を再び北へ走ると、島最北端の小さな町、カパアウに到着。初代カメハメハ大王が生まれたと伝わる神聖な土地で、大王像が立つほか、土産物屋もある。
キラウエア火山は、ビジター・センターだけで火口までは見られずに終わった。わが趣味のピックルボールは、この島でも盛ん。最終日は、沖縄出身のヤエコさん、東京出身のミキさんとプレー後、みんなでランチを楽しみ、再会を約束して2週間の旅を締めくくった。