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ユカタン半島で遺跡めぐり【トゥルム(メキシコ)】

ユカタン半島で遺跡めぐり
【トゥルム(メキシコ)】

トゥルム遺跡とカリブ海崖の下まで階段で降りることができ海水浴を楽しむ欧米人の姿が見られた

中米バックパッカーひとり旅の中で立ち寄った街、トゥルムは、メキシコ南東部キンタナロー州にあり、カリブ海に面しています。日本での知名度は低いようで、街で日本人はもちろんアジア人すらほとんど見かけない、穴場中の穴場でした。

取材・文:栗原澄也

どこまでも青い海と空、遺跡のコントラスト

マヤ文明は未だに解明されていない謎が多いことで知られている。トゥルム遺跡は、古代マヤ人が交易に利用していたとされ、沿岸部では保存状態の良い遺跡のひとつ。それほど広くなく、2時間あれば、じっくりと見て回ることができる。その場で海水浴を楽しめるのも魅力。カリビアン・ブルーの海と紺碧の空、そして古代マヤの遺跡とのコントラストには目を奪われた。遺跡内ではイグアナを始めとする、日本やシアトルでは見かけない動物を見ることもできた。

ノホックムルピラミッド頂上からの景色階段は急なため中央のロープをうまく使って登ると良いだろう

トゥルムから北西に約45キロのところにあるコバ遺跡も見逃せない。多くの建物はジャングルの中に点在しており、最盛期の800~1000年ごろにかけては5万人以上が生活をしていたという。敷地内は非常に広く、自転車タクシーやレンタル自転車で移動する人もいる。筆者は徒歩で回ったが、ジャングルの中をのんびり歩くのも気持ち良かった。この遺跡の目玉は高さ42メートルを誇るノホック・ムル・ピラミッドだ。マヤ遺跡の中でも特に高さのある建造物で、頂上まで登ることができた。ジャングルを一望する頂上からの景色に、地球の大きさとマヤ文明の偉大さを感じた。コバ遺跡へはトゥルムからADO社よりバスが出ており、片道55ペソ(約3ドル)で行くことができる。所要時間は1時間ほど。大きなバッグは遺跡内へ持ち込めないため注意したい。

自然が生み出す絶景の泉、セノーテ

メキシコのユカタン半島は石灰岩からなる台地であるため、川が存在しない。その代わりに推定5000ものセノーテと呼ばれる天然の井戸・泉がある。湧き出た水が無数のセノーテを生み、その水によってマヤ文明が発展した。

光が差し込むグランセノーテの幻想的な景色朝早い時間に行くと人も少なく水が澄んでいる

トゥルム周辺で有名なのが、グラン・セノーテだ。特長は何と言っても、その透明度。100メートル先まで見通せる透明さで、海や川とはひと味違う幻想的な光景が広がる。シュノーケリングやスキューバダイビングも可能で、レンタルやロッカーの利用もOK。セノーテに生息する小さな魚と泳ぐことができる。トゥルムから3.5キロほどのところに位置し、タクシーでのアクセスが一般的。そのほかにも多くのセノーテがあるので、いくつか回って比較してみるのも面白いだろう。

トゥルムの独特な街並み

観光地でありながら、リゾートとしてホテルが並んでいるわけではなく、昔ながらの雰囲気を残すトゥルムの街。メイン・ストリートを少し外れると生活感のある住宅地が広がり、夜になると屋台が並んで、地元の人たちが集まり始める。音楽をかけて陽気に食事をする様子が印象的だった。

メキシコ名物のタコスをビールと共にソースが数種類用意されており好みの味に合わせてアレンジできる

タコスでおなじみのメキシコ料理は、地元の人たちが集まるレストランだと特に安い。およそ2ドルの食事で満足することができた。また、メキシコはテキーラの生産国である。スーパーマーケットには、さまざまな種類のテキーラが置かれている。地元ではテキーラをストレートのままショットグラスで楽しむそうだ。コロナ、モデロなどのビールも安く飲める。

シアトルにいる今こそ、メキシコへ
シアトルからトゥルムへは、飛行機でカンクンまで行き、バスに乗り換えるというのが一般的。カンクンまではアラスカ航空の直行便が出ている。バスはADO社から1日20本以上ある。公式サイトで事前に確認しておくと良いだろう。
また格安の移動手段として、コレクティーボと呼ばれる乗り合いタクシーがある。これは地元の人たちが主に使っている交通手段で、小型のバンが満員になり次第、目的地に向けて出発する。カンクンからトゥルムに行くには、途中のプラヤデルカルメンで乗り換えが必要だ。
経済成長の過渡にあるメキシコは、日本やアメリカに比べるとまだまだ物価も安く、お得に観光できる。日本からの旅先としてはなかなか選ばれにくいとは思うが、シアトルからはそれほど遠くない。ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。

栗原 澄也
明治大学商学部を休学し、シアトル・セントラル・カレッジに1年間の留学。バックパッカーひとり旅のため中米を訪問して以来、世界を旅する旅人に憧れている。スペインのサッカーを見るためにスペイン旅行を決意するほど、サッカーをこよなく愛し、シアトルでもサッカーを通して交友関係を広げている。