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シアトルでのコロナ禍、私が働く中で体験したこと。

シアトルで働く日本人は、実際にどんなことを感じながら、この日々を過ごしているのでしょうか?さまざまな業種で仕事を続ける4人の方に話を聞くことができました。

「パニックになる患者が出るのではと心配していました」

みきさん(薬剤師インターン)
ワシントン大学で薬学を専攻する大学院生。インターンとして薬局でカウンセリングや薬の管理、ワクチンの予防接種などを行う。

2月末からの約1カ月間は薬の需要が一気に増し、通常なら在庫のある高コレステロール薬や糖尿病薬、ぜんそく薬が足りなくなり、市販薬も痛み止めや咳止めは売り切れ状態が続きました。「自分は新型コロナに感染しているだろうか」という問い合わせも多く受けました。病院は院内感染のリスクがあるため、患者の症状や基礎疾患から医師へ電話相談をするべきか判断します。自宅で安静にしたほうが良いと思われる場合は、その方の持病や年齢、アレルギーに適した薬をご案内しました。働き方に影響が出始めたのは3月中旬から。週末の営業時間が2時間ほど減りました。緊急以外のワクチン接種は一時的に中止に。そして、薬のデリバリーを開始しました。カウンターと来店者との間に透明な間仕切りを設け、待っている人には6フィートの距離を保つよう呼びかけました。スタッフ同士も6フィートの距離を取り、カウンターの消毒を徹底しました。もし、何か健康面で気になることがあれば、薬剤師は一般の方が思う以上に知識が豊富なので、まず薬局に電話で相談して欲しいです。仮に無症状であっても、手洗いを頻繁に行い、人との距離を保ち、重症化リスクの高い人を守るようにしたいですね。


「会えない園児たちとオンラインで交流」

ティナさん (幼稚園教諭)
幼稚園で働く。普段は13人の5歳児を受け持ち、平日8am〜4:30pm、勤務する。

3月11日にシアトル近郊の公立校が休校になった時、職場の幼稚園にも影響か出るのではと危機感を覚えました。園内では遊具やドアノブの消毒回数を増やし、あらゆる場所に除菌アイテムを配置しました。密室状態を避けるため、外遊びの時間を増やし、集団でのアクティビティーは中止に。園内に保護者が集まらないよう、送迎は玄関口のみで行い、風邪の症状のある園児には、発症から72時間の自宅待機をお願いするなどしていました。登園する園児は次第に減り、3月中旬までに約半数以下になって、預かり時間も短縮されました。ちょうどその頃、休職中だったアルバイトの先生の新型コロナ感染が発覚したことから、2週間の臨時休園に。4月上旬の休園明けにも園児が少なかったため、ほとんどの先生は自宅待機となりました。現在は週3回、クラスの園児たちとオンラインで顔を合わせ、ゲームなどを楽しんでいます。保護者には、家でできるアクティビティーや勉強の工夫をメールで紹介しています。園児たち中心の生活がなくなり、寂しい気持ちはありますが、テレワークとなって時間に追われることなくマイペースに仕事の準備ができています。


「ルーティンはあまり変わらなくても、テレワークによる弊害も」

あきこさん (インテリアデザイナー)
商業施設の内装を手がけるデザイン会社に、プロジェクトマネジャー兼シニアデザイナーとして勤務する。

自宅待機命令が出た3月4週目からテレワークに切り替わり、ビデオ会議や電話会議を行うようになりました。ソフトウェアを使いこなせないと、あたふたしてしまうことがあります。建設現場がストップしている間は図面を引くなどのペーパーワークなどに限られ、仕事はややスローだったのですが、5月上旬に州に工事が許可されてからはまた忙しくなってきました。内装に使う素材のサンプルは、卸業者からクライアントと自宅に配送してもらい、テレビ電話でデザインを決めています。椅子やカーペットに使われる布、木、メタル、プランクタイルと呼ばれる木目のビニール素材など、1つのデザインを決めるのに通常は10種類ほどの素材のサンプルを比較し、クライアントと検討するのですが、今はそれが満足にできない状態です。自宅に届く素材は念のため全て消毒しており、部屋の中で保管スペースを確保するのも大変。また、先方に送られていない素材を見せたい時にオンラインで説明する難しさもあります。模様の入った素材は全体を見たほうが想像しやすいのですが、消毒や保管場所の確保を思うと、小さなサンプルで注文せざるを得ません。ただ、通勤時間がなくなったのは良かったです!


「会社でテレワーク導入が進んでいたので移行もスムーズ」

マイケルさん (IT企業社員)
IT企業に勤める。デスクワークが中心で、利用者のコンプライアンスを守る業務を担当。

2月は通常通りに出勤していましたが、3月2日から出勤は自己判断で決めて良いという方針になり、家から働く同僚が増えました。全員の在宅勤務が決定した3月6日時点で、すでに10名ほどのチーム内での出勤者は自分を含め2名のみでした。これまでも月に4日はテレワークが可能な職場だったため、悪天候の日などは自宅で働くことがあり、VPNへのアクセスといったセキュリティー環境の設定はスムーズにできました。在宅勤務でもコミュニケーションを取りやすくするツールとして、社員はビデオ会議やチャットなど会社独自のシステムを利用することになっています。現在は2、3日に1度、ビデオ会議を行っており、30分で終わる時もあれば、半日以上話す時もあります。業務はもともと単独で行うものなので、仕事のルーティンは普段と変わりません。ただ、自宅に仕事用のスペースがあるわけではないので、ダイニング用の椅子に長時間座って働いていると腰が痛くなり、かなり苦痛です。筋トレが趣味で、ジムの閉鎖中は苦肉の策として、米袋や水を入れたクーラーボックスをダンベル代わりにしてエクササイズを行い、リフレッシュするようにしています。